2016年1月5日火曜日

保険審査の奇々怪々

病院の外の仕事をする方は通常は医療を「内側」から見るということが無いと思います。特に、病院その他で行われている治療の結果発生する診療費の請求の内幕というのがどうなっているかを考えることなどまず無いと思います。

実際に病院の内側で仕事をしていたとしても、月々の保険請求をしないかぎりはそのようなものを見聞きすることはありません。
しかし、診療行為を行ってその正当な代価を正しく請求するということは病院の経営にとって必須の行為ですので、その「漏れ」が無いようにしていくことは大変大切なことなのです。

でなければ、行われた処置や検査がそのままボランティアとして費用だけかかる結果となり、そのような未請求分の累積が病院の経営を圧迫することになりますので、上に書いたような「月々の保険請求」には細心の注意を払って「正しく、過不足無く」請求するべく医師や医事課では神経を使っているのです。

ただし、これは実務上各都道府県によって請求に対する支払いの厳しさ(渋さ)は大きく異なります。例えばお金のない県は支払いに対しては実際当然のごとくその審査の閾値が異なるというのは医療者の間では常識であり、同じ医療行為を行っても県によってはそれに対する支払いを認めるまでの紆余曲折のレベルが途方も無く高かったりして、請求者側が涙を流すことも普通に有ることなのです。

要するに払い出す方は無い袖は触れませんからね。w

ここで問題となってくるのがこれらを請求する際の各疾病を治療する際の必要な「保険病名」なのですが、内情を知る側から見ればともうこれが有りえないほどボロボロ。
各治療行為にはそれに対応した保険病名が記載されているのですが、実際には病気の治療はそう杓子定規には簡単には行かない事が多いという事実と、実務上の「種々の実情」が一対一対応を許さないことが本当に多くて・・・。

請求する方も審査する方も実際はそのオカシサを解っているのにお互いが譲れないという現実。アメリカも実際には保険会社が雇っているドクターが審査するらしいのですが、ここらあたりは日本では保険審査の委員と名前が変わるだけの話で、やっていることはほぼ同じ。

請求しては突き返し、それを繰り返すことになるという双方の消耗戦です。
互いに金額が膨大なものになるだけに一時も息を抜けないやり取りを繰り返すわけなんですが・・・。まあ、内側からこういったことを観ると実はここにかけないような意味不明の審査とかがまかり通っていることもごく普通でして。

実地医療の世界は本当に基礎医学とは違う別の意味の複雑さが有りますね。
これはこれで本当に難しい。疲れます。w

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