ある患者さんが随分昔に私の居る病棟に入院してきました。
この方は生まれた直後からある疾病に悩まされていったんですが、次第にその影響が多きくなり最終的に寝たきり状態になってしまいました。しかし、そこに至る迄にはいろいろな病院をまわってきた経緯がいろいろありますが、体がここまで弱くなってしまった事に関して以前入院していた「ある病院」を名指しで非難する御兄弟が来られていました。
実際前の病院からこの患者さんを引き受けて、入院当時には命の火が消えかけていた患者さんを必死で何とかレスキューして何とか「明日亡くなるかも」という様な状況からは脱した為、私には感謝を示して下さるのですが。
その御兄弟のお話を伺っていると、ずっと前にいた病院のある先生の事を非難するばかりで、逆に聞かされている私の方がドヨンとしてしまう程に毒のある内容を含んでいます。その上、何度も何度も「絶対に訴える」と息巻いています。
あの~、私も同業他社というだけで医師なんですけど…という言葉が歯の裏まで出て来るんですが音声化はしません。
しかし、その方の恨みの言葉を聞いていると恨みというネガティブな感情は何物をも前進させないし誰も幸せにしないなと強く感じてしまいます。理由を具体的に説明するまでも無く、その口から出て来る毒気はあたかも詠唱魔法の様に言霊の如く私に負の感情を投げつけて来るのでした。
こういう感情を自分自身が抱き続ける事で、患者さんの御兄弟として自分をも不幸の中に引きずり込んでしまうのではないかと本当に心配です。
確かに色々な経緯があって患者さんがこういう状態になったというのはあるのでしょう。しかし、そういう呪いの言葉を吐き続ける御兄弟を果たして今の寝たきりの患者さんが喜ぶでしょうか。
私はそうは思わないのでした。
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