2018年1月8日月曜日

患者さんからの手紙

精神科の病棟に行くと時々特定の男性患者さんから連絡の紙片や手紙を渡されることがあります。

ここ数年そのようなことは沢山ありましたが、その多くは数学の質問や患者さん御自身が思いついたという新たなアイディアに関する提案でしょうか。その他には自分の文学的作品(多くは短編)を渡してくださる方などでしょうか。

残念ながら、その多くは「私的には」なかなか理解できない内容が多いのですが、その独特の内容からは患者さんなりに大変一生懸命考えたのだろうな〜、と推測されるものも結構沢山あります。

数学や科学の問題を私自身に問うてくる方の中には昔は実際に工学系でかなりハイレベルの大学を卒業された方なども居るのですが、現時点では残念ながらその精密な頭脳の輝きは見られなくなっていますが、その片鱗というか過去の栄光が垣間見られるようなキラキラ光る欠片を見せてもらえることもあります。

ただし、文章を私の方に渡してくださる方の中身に関しては「ヤッパリわからん」というレベルのものから、「完全にあかん」というものまで幅があるのですが、基本的には良くわからないというのが統合失調の方の手紙でしょうか。
とは言っても人間の能力というのは実に幅が広く出来ているもんで、ボードゲーム(将棋や碁)をさせると並み居るドクターが全く刃が立たなかったり、過去の記憶を異常なレベルで引き出せたり、本当に多彩です。

そういうのを見ていると、人間の能力って正常と異常の幅や質というのが実に多彩すぎて、その”能力”という言葉に対応する評価は「実に複雑」だなと思いました。

こう言った個人的に渡された手紙というのは実は患者さんの主治医のカルテに戻すことになっていて、いわゆる”病状”の変化を見るための資料として供されるとのことなのですが、精神科のドクター自身にとっても、そういう文章を見たとき、単純にそのオカシサを見るだけでなく、いろいろと考えさせられることが結構たくさん有るんじゃないかなと推測してしまう私でした。

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