比較的連日続いた夜間緊急対応で体が疲れていたのでしょう。
珍しく浴槽の中で寝てしまいました。
何というか、そういう行い自体がいわゆる「自殺行為」と呼ばれる類の愚かさを内包したものであることを医師としてよく知ってはいたのですがやっぱり強い疲れには勝てません。
嫁さんから「死ぬよ~!もう。」と怒られながら現実に戻ってはまたウトウトということを繰り返すこと約30分。
ものすごいぬるま湯の中での30分でしたので、それほどのぼせることもなかったのですが、危険は危険。今度からは疲れたらシャワーを浴びてさっさと布団で寝ることといたしましょう。
さて、実際この「日本」という大変お風呂好きな国民の生息する島国ではどれほどの人が入浴という行為に関連して死んでいっているのかと興味がわきましたので、今回のインシデントに関連してちょっとネットを調べてみました。
その結果は想像通りのヤバさでして、その議論の根拠となる数字がしっかりしたものだけに限って挙げてみても法医学会のこの資料や消費者庁のこの資料などに詳細な記述があります。
入浴中の事故死者数自体が何と年間二万弱!そのうち溺死に関連したものは五千弱というとてつもない数!(平成26年)しかもこの数は毎年毎年伸びており、この十年で右肩上がりの1.7倍の増加とのこと。
法医学会の記述によれば浴槽内での溺死に限ってその死因を紐解くと、平成24年までの調査でネット上で会員達から出されたデータを総合すると、1441例の死のうち、「死因に関連する傷病が認められた696例の内訳は、複数回答も可能であることから重複する症例も存在するが、動脈硬化症が112例と最多で、冠動脈硬化症99例、その他の心疾患85例、高血圧57例、糖尿病48例、脳梗塞36例、外傷34例、癌23例、その他の脳疾患19例、脳出血14例、てんかん13例で、その他の疾患が337例であった。」とのこと。
実際のところ、その病因が不詳であったときちんと回答された法医学会会員の回答もたくさん含まれるため、その科学的な謙虚さは逆にこの結果が正しいと推認させるに十分な質を持っているのだろうと想像できます。
さて、こういった背景を踏まえて出された消費者庁のsuggestionをみてみましょう。
(1)入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう。
(2)湯温は41度以下、湯に漬かる時間は10分までを目安にしましょう。
(3)浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
(4)アルコールが抜けるまで、また、食後すぐの入浴は控えましょう。
(5)入浴する前に同居者に一声掛けて、見回ってもらいましょう。
いずれもナルホドの内容。特に高齢者や酒癖の悪い人間には納得のいく提言ですね。
用心せねば。。。浴槽に浮かばないための大切な心得集ですな。
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