精神科の患者さんには様々な依存症の患者さんがおります。
当然ですが、ありとあらゆるものに対する依存症が存在するわけですが、中でもわれわれ内科医がよく診療の中で出会うのはアルコールと薬物の依存です。特に私の場合はアルコール依存の結果として起きてくる肝障害や脳症、神経症状また離脱症状に伴う種々の疾患に対処するのが日常となっています。
診療する度に毎度毎度考えることの多いこのアルコール依存症。家族や周囲の人達に信じられないほどの迷惑をかけ続けた挙句に兄弟や親にまで縁を切られたり、嫁さんや子供達に逃げられたりしている人達は実にザラにおります。
また、司法のお世話になる人達も・・・そのお世話になるレベルは人により様々ですがヒストリーには傷を持つ人もおりますし、実際に警察から入院前後の時期に治療の状態や患者さんの今後に対する質問書が回ってくることも稀ではありません。
第三者の私がこんなことを言っても”詮無きこと”とはわかっていても「なんで酒に嵌るよ?」という質問を一体何度心のなかで患者さんに問いかけたでしょう。実際に患者さんの腹水を抜くときなどに少しそばに立ってお話をしたりすることがありますが、お話では毎度のこと「酒など値段も質も何も関係ない、酒だったら100円でも10万円でも酒で酔えば良い。」というのと「止められない。家に戻ったらまた酒呑むよ。」と言うようなことと似たり寄ったりの発言。
治療をしながら実に強い無力感に襲われることもありますが、もう最近は淡々とプロトコールに沿って治療していくことにしています。
抗酒剤や断酒補助薬というような薬、断酒会というようなシステムもありますが、再度戻ってくる人は何をやっても戻ってきて、それこそ「死ぬまで」止めません。それこそ酒が入っていないときは人に一言も言葉を発せないような気の弱い人だったり、周りの人も「酒さえ入らなければあんなに良い人なのに」・・・何ていうのはこれまたごく普通で。
家族や兄弟に愛想を尽かされてもやはり止められない酒という魔物。酒は飲んでも飲まれるな、というのは真に至言です。
4 件のコメント:
>「なんで酒に嵌るよ?」という質問を一体何度心のなかで患者さんに問いかけたでしょう。
私は心の中にとどめることなく、思いっきり口に出しております(笑)
いつだったか、夫が飲み過ぎて電車で熟睡し、山梨まで行ってしまったことを書いたことがありますが、
結婚して10年ぐらいは飲み過ぎ事件が頻発していたため(3~4日に1回ぐらい・・・怒)
そのたびに言ってましたよ。
中でも最悪だったのが、子供(1歳後半の頃)が咳と高熱を出していたので
朝出かける夫と「今日の飲み会は控えめにしてね」「わかったよ」という会話をしたにもかかわらず
泥酔&顔に怪我して血をしたたらせながら(本人気づいていなかった)の帰宅&夜間救急に連絡してタクシーで送り出す&翌日反省していたのに、しばらくしたら「飲むなっていうから飲み過ぎて怪我した」と私のせいにした・・・という大事件。
ホント、あり得ないです。
その頃、真剣に調べましたもん。アルコール依存症の自己チェックテストの内容を。
酔っ払いが「ヒィック」としゃっくりするのをドリフターズのカトちゃんがやってましたが
そういう現象が本当に起きるって、結婚して初めて知りました。
今でもたま~に思い出したように飲み過ぎて帰って来る日があるので
死ななきゃ治らない不治の病と呼んでおります。(笑)
うむむ。
これに関しては私も余り偉そうなことは・・・。嫁さんは私が酔っ払って大声で笑い声出してそのまま寝てしまうのを何度も、しかも家呑みで見られておりますのでここに書くとご主人様同様怒られます。w
しかし、アルコール依存症の人の異常酩酊は結構凄いですよ。ホントに。飲んでいるときと飲んでないときの差の大きさに驚くこともあれば、延々と呑むその様子を話に聞くにつれ「ちょっと次元が違うな」と思うことが多いです。私は精神科医ではありませんが、依存症の離脱はいろいろと至難の業。
人間とは弱いものだとつくづく思います。
smallGさんは笑い上戸・・・? 笑
でもまあ、家で飲んでゴロンとなるなら危険は無いですから、まだマシですよ。
道路をお布団にしてる人がいますから。(←夫ぢゃないです、一応 笑)
縁石を枕にしてると本当に危険~
いろんな依存症があるけど、大変ですね。
本人も家族もお医者さんも。
確かに。
昔、研修医だった頃に、お酒飲んで農道で寝ていた人を同じ病院の救急外来の看護師さんが轢いた事件がありました。
自戒したいものです。
コメントを投稿