うちの病院では日本で行われている二種類の標準的な痴呆のテストをしてそのレベルを数値化して痴呆の判定をしているんですが、90代でも満点(要するに何の問題も無し!)という物凄い冴えた婆ちゃんも居れば50代でももう半分も取れない人もいる、というふうに実にバラバラ。
若いころの知性とこの点数がどれほどパラレルなのかは私は不勉強でよく知らないのですが、とにかく凄い爺ちゃん婆ちゃんが居るのは確かです。
さて、そうでない人達、、、残念ながら痴呆になってしまったお年寄りの中にも多分若かった頃のキャラがそのまま痴呆発症後のキャラに反映されていそうな可愛らしいお年寄りが居ます。
小さくなっちゃった体で何度も何度も同じことを聞いてくるひとや自分の病室がわからなくなってしまってナースステーションに来る人も結構居ますが、それでも物腰柔らかくて丁寧な言葉づかいをされる方も多く、きっと若いころに社会でバリバリ働いていた頃もこんな感じでお話されてたんだろうなというふうに感心させられる人たちもたくさん居ます。
排便を出す間隔が気になって気になって一日中その対策を話しているお婆ちゃんや、自分が八百屋をやっていた頃の思い出以外はかなり怪しくなってしまっているんだけど、今でも一生懸命社会に戻って普通に働いて役に立ちたいと真摯にその思いを語られる人なんかも居ます。
こういう人達を見ていると痴呆を治してあげることができたら、もしくは痴呆の進行を止める薬が出来ればそれはそれは社会全体にとっての本当に本当に大きなプレゼントだなって心から思いますね。
真っ先に飲むのは俺自身かも!
さて、歳が寄ろうが心から尊敬できるような凄いお年寄りたちだけでなく、当然そうでない人たちも沢山いるわけでして、、、(残念ながらそれは老若を問わずという当たり前の事実なんですが)多分この人若い頃から周りの人とぶつかりまくっとったんやろうな〜というような「残念」治すことが老人も沢山居ます。
もちろん患者さんですから粗略に扱うようなことはこちらからは決してしませんが、こういう人達は同じ病棟の他の患者さん、特に同室の他の患者さん達と衝突してしまう例が稀ならずあることも事実です。
年寄りになって口は威勢がよくても体は動かずという人が憎まれ口を撒き散らして他の人とぶつかっているのを見ると看護や治療する側としてはどうしようも出来ませんがやっぱり「あーあ、またか、、、」とは思ってしまいます。
こういうお年寄りは配置換えをしたり、全く動かない寝たきりのお年寄りの部屋へ配置換えなどをしてあげて衝突をなるべく事前に防ぐのですが、それでも食堂にみなが出てきた時などにやっぱり口論の火種を振りまくことが多くて、、、。
教科書的には痴呆が進行することによって多幸化や易怒性の顕在化云々といろいろ人によって症状が異なることが書いてはあるんですけど、自分が年を取ったら人に迷惑を振りまく爺さんにはなりたくないな〜とフト考えてしまうのでした。
年取って問題を起こす人達を見てて考える「周りとうまくいくコツはなにか」ということを考えてみると、
- 人の話をよく聞く
- 短気は損気ということを理解する
このたった2つに集約されているような気がしてなりません。あ、これって別に年寄りじゃなくても当然のことか。w
2 件のコメント:
私や友達の親たちも
80前後となり、
痴呆が入ってきた親たちも出てきました
おとといも友達と話してたらお母さんが毎日の様に死にたいと電話してくると
自分が正常ではないことが分かるので、葛藤しておられ、死にたくなっちゃうみたいです
1か月前にそのお母さんにお会いした時は、確かに認知症の傾向はあったものの明るくお元気だったので
死にたいの言葉を聞いて、辛くなりました
病院での同室の方のせいで
舅、一時期おかしくなってしまいました
水頭症の管を通す手術をし、はじめは個室にいましたが、
症状が安定してきたので、4人部屋に移りました
足元のおじいさんが、暴言吐きまくり
舅に対し、車いすを盗んだのお金を盗んだなのの繰り返し。。。
舅、恐怖から段々おかしくなり、
戦車が部屋の中を走り、ネズミが壁に貼りつき
大変な状態が退院してもしばらく続きました
かわいいと思われる老人になりたいものです
CHICHIさん、
痴呆と言っても本当に千差万別。
一括りに痴呆はこんなものだなどとはとても言えるものではありませんが、誰もが歳を取るのですもんね。
毒だけ撒き散らし胡散臭く汚らしい老人にだけはなりたくないなと思いつつ、、、そう簡単には想い描いたようには行かないもの。
おかしな人からおかしな責めを受けた時、刺激の少ない病室ではほんとうに簡単に「普通だった老人」が痴呆を先鋭化させることが有ります。このコントロールは日本の重大な課題だと思ってます。
可愛い老人。僕には無理そうです。w
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