2025年9月28日日曜日

捨てられた患者さん

内科もそうですが、精神科で長期入院状態の患者さんには実質的に家族が関与を絶ってしまったり、兄弟姉妹レベルの方々が死に絶えてしまって身寄りと連絡の取れなくなってしまった方々がたくさんいます。

上のカルテも昭和40年代から入院しているようなヒトが極稀に居られて、患者さんのIDも最近では普通に6桁の真ん中くらいなのですが、3桁という恐ろしく古株の患者さんを見ることもあります。

精神疾患に効果がある薬が少なかった時代、今のモダンな薬に比べれば碌に効きもしないで副作用ばかりが目立つような当時の多くの薬でガチガチの錐体外路症状を含む悲惨な病態が完成してしまって、社会生活が営めなくなってしまった中で他人との意思の疎通が途絶え、時間が経ち、家族も消えていき、精神科で入院を続けていた自分だけが親族の中で命あるものとして残っているというパターンも大変多いのです。

今後も少子高齢化が進む中で親族との関係が絶たれて病院や施設に置いてけぼりのような形で生を全うせざるを得ない入院患者さんや施設入所の方々達が増えていくと思われますが、アメリカに比べればそれでも入院、入所できるだけまだ幸せなのかな?

アメリカだったらお金がなければシェルター、ホームレスなどが中心でしょうし、施設に入っても中心静脈栄養で命を繋いだりすることも経鼻チューブを入れたりする事も殆どないでしょうからそういう点では日本は白旗さえ揚げれば行政がレスキューしてくれますので、天国とはこのことでしょうか。

それでも、家族親族が既に居られない中でもしくは親族等が絶縁をしてしまった身寄りの無い患者さん達が「はよ死にたい」などと呟くのをみていると、積極的に何かをするような状態でもない方々が果たしてどれほど幸せを感じることが出来ているのかを思うとき暗澹たる思いにとらわれることがあります。

うーん、やっぱりそういう孤独な状態も含めて人生の悲哀と呼んでしまって良いのでしょうかね…。複雑な心境です。

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