2025年9月18日木曜日

アメリカの科学大丈夫か?

ポピュリズムというのは恐ろしいものです。

これほど容易に国家を変容させるのかという実例として、あの「最後の自由の砦」という取り敢えず張り付けられた仮面の下に20世紀から後も生き延びて来たアメリカを、一人の専制君主とその周りに屯する太鼓持ち達があっと言う間に変容させてしまいました。

この気の狂った専制君主はまさに自分が誰であるかを完全に勘違いしている裸の王様ですが、専制君主というのは暴君であればあるほど統制は強まるもの。今のアメリカはまさにその状況ですよね。

ネガティブな意味で歴史に名を遺すような愚かな選択が次々に行われている今のアメリカですが、今回驚くような追加的愚行選択のニュースが飛び込んできました。

それはH-1Bビザの申請費用を10万ドルにするという有り得ない方針。その目的は「米国民の雇用を守る」というもの。お前ら頭大丈夫か?って元から大丈夫じゃないわな。w

そもそも日本のみならず、世界からそのチャンスを求めて研究にやってくる連中の多くはJ-1ビザでポスドクとして入国し、その延長線上にH-1Bビザを申請して研究継続というのが通常のルート。もし、この道を実質上閉ざすような選択をこの愚かな政権が行えば、アメリカの科学を幅広い裾野として支えるポスドク達の研究継続を不可能にする事になる訳です。

研究というものは研ぎ澄まされたごく少数のトップの連中だけが集まって成立するものではありません。天才、異才、秀才、鈍才など色々と雑多なレベルの連中が集まって科学の隅々まで覆い尽くしてエリア全体をカバーする事が科学の塔を光り輝かせるのです。

自国人の雇用を守るためにというのは、結局言い換えれば外から来る人間はアメリカ人にとっては雇用を奪う「邪魔者」と言っているのに等しい訳です。90年前にナチスも同じ事を言ってドイツからユダヤ人科学者達を追放しドイツ帝国の近代科学における栄光の歴史をあっと言う間に終わらせたのでした。大数学者ヒルベルトの当時の嘆きの一言はその事実を明確い語っています。

愚かなトップが愚かな国民を導く時、例え21世紀になってもポピュリズムの破壊力は国家を容易に変容させるのだという事実に暗澹とさせられるのです。

アメリカ国民の最後の良識が中間選挙で結果を出す事を強く願うのでした。

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