ずーっと前からこの大学の事がネットを賑わしていましたが、最終的に今日読んだ二つの文章で全体像が見えたと思いました。
前からどの報道を読んでも文章全体がモゴモゴとしていて、あくまでも核心部分は表に出ないような書き方がしてあるものばかりでしたが、今回のビジネスプレスの説明とフライデーの説明でなるほどと腑に落ちた気がしました。フライデーなんて言うのはいわゆるセンセーションを喚起することを目的として書かれている一面が大ですが、ここに書いてある文章はかなり微細を穿っており、全体として大きな齟齬も感じられません。
当初は極端な難治例を個人的に一手に引き受けたために術の成績も悪かったのかと思っておりましたが、現場の様相はどうやらそれとは真逆の様で・・・。
一言で言えば「患者不在の医療」という言葉に尽きるでしょう。
何と言うか、このオペを担当した助教のスキルも他の外科医によるビデオ判定を受けているのですが、とてもとても先進医療をするようなものではなかったというのが数人のドクター達の判定。それがそのサポーターたる教授の寵愛を受けて難しいオペに挑むのですから、結果として何が起こるかというのは中学生でも予測できます。
実際にこの記述では”この医師は、開腹手術でも10人の患者を死なせていることがわかった。死亡率は実に12%近く。全国で行われた外科手術を登録するデータ・ベースをもとにした肝臓の開腹手術の術後3ヶ月以内の患者死亡率によれば、比較的リスクの高い切除方法に絞ったデータでさえ4%だというから、これは異常な高さである。”とあります。
しかも、外科医という存在においてはありえないような手術記録の不備、病名の不記載、大きなオペ翌日のバイトとか・・・。もう完全にモラルのタガが外れていたんでしょうね。その証左はこれ以外にもあるようで、”日本胆肝膵外科学会の「高度技能指導医」”を取得した際にも嘘の手術件数などを報告するなどという、医師として最低限絶対にやってはいけないことにも手を染めていたようです。
しかし、これに類似した書類の偽造による専門医の資格取得に類した話は実は周囲でもよく聞くのです。実際にそう思っていたところへこの前は精神科医達による精神保健指定医の資格不正取得事件がありましたしね。
医師の資格する資格の中でも、細かく別れた”XXX専門医”とか”YYY指導医”とかいうものの一部には学会が金を集めるためだけに作っているものでしょう?と思われるものもターーークサンあります。誰も表立って言いませんけどね。
軍人が胸に沢山のピンバッジを着けるのが好きなように、XX認定医を集めるコレクターみたいな人が結構居るのも受験を経てきた資格コレクターたる医師の悲しい性といえばそれまでなんですが・・・。
インターネットがこれだけ広く状況を提供している21世紀です。
お医者さんを選ぶ時はよくよく色々と下調べをされて診断・施術を受けられることをお薦めいたします。金ピカの立派な名目の資格名称や認定証を持っている人がベストのドクターとは限りませんし、施設がデカければより良い治療を受けられるとは必ずしも限りません!(勿論どちらの条件も当然のように兼ね備えておられる専門医の先生も沢山居られますので、誤解なきよう!!)
郡大事件でお亡くなりになられた患者さん達の御冥福を心よりお祈りいたします。同じ医者を名乗る者として本当に顔をあげられないレベルの愚かで恥ずかしい話だと思います。
4 件のコメント:
群馬大学病院の事件については事件発覚当時も恐怖に震えましたが
リンク先の記事を読んでゾ~ッとしました。
まさに「患者不在の医療」!
執刀医も担当教授も患者さんの命を預かっているという自覚がまったく無かったんですね。
(私も記事中にあるようにあまりの件数の多さに当初「わざとじゃないか?」と疑いました。)
お医者さん選び、病院選びって本当に難しいです。
患者としては一刻も早く名医に完璧に執刀してもらいたいわけですが、例えば胃癌になった場合、友人に消化器外科医師がいたとしても、結果が悪かった場合に友人関係がどうなるかと考えて迷うでしょう。
友人に消化器外科医師がいなくてその友人に評判の良い医師を紹介してもうらうのも同じように考えるとなかなか頼みにくいです。
となると「手術数でわかるいい病院」といった情報本を頼るか、膨大なインターネットの情報に頼ることになります。
そこに書かれているのは、信じてよいのかわからないクチコミ評判や、「手術数」「〇〇認定医」みたいな情報で、群馬大学病院の問題医師みたいな人も数字だけは良いのでカウントされてしまっているわけですよね。
情報を信じて「名医」にお願いすると手術は何か月も先、なんてこともあります。
で、迷いに迷って疲れ果て、結局は自宅近隣の大学病院や総合病院になる・・・笑
実際に上に書いたような経験をしているので、また誰か大きな病気にならないことを祈るばかりです。
(病院探し、医師探しのコツってあるのでしょうか?)
これは難しい問題です。
特に医療関係者でない方には・・・。我々は知り合いの知り合いを伝って”評判”の真偽を確かめますが、よく定期的に雑誌で出て来たりする”XXの名医”と呼ばれる医師や病院というのは一体どこから選定されてきたのかと腹の底で笑っておりますが、実際に病気になってしまえば私だってその手の雑誌を手に取るかもしれません。
そういう意味では何の責任も負わないメディアが、どこかから聞きつけた情報や表面的な統計数値を元にして病院・医師を判定し売文しているのであれば実に罪深い作業をしていることになります。
私も多分それほど深く考えず、二次レベルくらいまでは素直に近所の中規模病院の医師もしくは知り合いの医師の紹介に頼ってさっさと駒を進めるような気がします。
実際自分の心臓手術をした時はその手の心臓専門病院が近くにあったことから循環器内科の医師に紹介された心臓外科の医師に素直に命を預けました。ただし、その医師と直接話しをさせてもらってリスクアセスメントはしましたが・・・。
何れにしても医師を選ぶこと自体が寿命を決めるということにもなりますので、難しい問題であることに変わりはありません。
下々の我々の場合は”運の要素”も多分にあると思います。
天皇陛下や大統領ではありませんので、ベスト・オブ・ザ・ベストをピックすることはまず無理かと。それも運命です。それでも助かることは普通に沢山ありますので、現代医学の平均は高いと思いますよ。
自分の運の善し悪しで家族の運命が決まるとなると責任重いような、でもどうしようも無いような・・・
自分で自分のこと決めてどうにかなるのはしょうがないと思えるんですけどね~笑
10年以上前の我が家(というか実家)のすったもんだは、その後再発無しということで運が良かったのでしょう。
再発がなくて何よりです!本当にスバラシイ。
運は大事ですゾ。引き寄せましょう。
(というか、引き寄せてるからこその治療成功だと思います。)
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