2025年4月18日金曜日

これからも医療機関は減り続ける

 数年前からずっと医師のフォーラムでは病院の赤字問題が掲示板を賑わせていました。

最近はバカな事をして潰れる大型の案件も含めいろいろな病院の倒産ニュースが増えていますが、基本的に多くの病院が何らかの工夫無しではもう生きていけない時代になっています。

倒産件数自体はじりじり上がっている感じで、負債総額1000万円以上の倒産に関しては
2021年: 33件病院1件、診療所22件、歯科医院10件。 
2022年: 医療機関の倒産件数は増加傾向。診療所は過去最多の22件を記録。 
2023年: 41件(日本経済新聞報道)。経営者の高齢化や後継者不在が背景。 
2024年: 64件(帝国データバンク調査)。過去最多を更新。

病院単体の倒産件数自体は普通の企業に比べれば圧倒的に少ないのですが、実際には多くの病院は赤字が多く、黒字であってもアップアップ。厚労省の改訂次第ではあっと言う間に水に沈むような状態というのが実情なのです。

倒産だけでなく休廃業・解散を含む医療機関(病院、診療所、歯科医院)の閉鎖件数も増加傾向で、2023年度では休廃業・解散が709件、倒産55件で合計764件。 2024年には倒産や廃業など合計786件(2000年以降最多!)。

コロナ禍の影響による受診控えがもたらした診療報酬の減少や経営者の高齢化・後継者不在は特に診療所で顕著なのはもう散々言われている事です。実際に医師会報を見ると、運営が赤になる前の自発的閉院、院長死亡や高齢化に伴う閉院の公告も多く。これらはもう見る方の私も慣れてしまいました。また物価高騰と診療報酬改定の遅れのせいで全く利益が出ずに潰さざるを得ない状態の所は一杯あります。更には驚くほどの医薬品、医療機器の価格上昇や賃上げ圧力が経営を圧迫しているのも末端の私でも驚くほどで、今時病院を経営するなんてまさに損しかない状態となりました。

「病院単体」の倒産件数は少なく診療所や歯科医院の影響が大きいのですが、実際にはこんな風に休廃業・解散は倒産より多く、負債がない健全な閉鎖も多いのです。 2025年問題(高齢化社会の医療需要増)や政策による病院数の抑制も背景にあって、何としてもベッド数を減らそうとする圧力が凄まじく、これらを総合すると「家で死ね」という暗黙の政府からのメッセージと素直に考えたほうが良いでしょう。

経営コンサルなどは安易に「儲かる科」を残して他は潰せと言うらしいのですが、それを繰り返せば(原因は異なれど)アメリカの様に産婦人科と小児科は真っ先に消えるでしょう。

最後はスタバの溢れるモールのようなジョークのように特定の科のみ存在する病院が溢れないでしょうね?




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