医師としてはペーペーの私ですがそんなダメ人間の私でも必ず気がけていることがあります。
それは日々の仕事の中で忙殺されているときでも、必ず患者さんには毎日顔を出して挨拶と診察をするということ。これ、病院というシステムの外に居て縁の無い方には意外と思われるかもしれませんが、全国の病院の中ではやはり忙殺を上回るような殺人的なスケジュールの中で患者さんに十分な診察の時間を割けない先生(患者さんをもともと余り診ない先生もまあおられますが)もいるのです。
実際に入院されたことのある方ならご存知でしょうが、先生が外来とオペと検査をやっていたら患者さんに日常の診察という形で接することのできる時間はやっぱりグングン削られてくるんですね。日本の大学病院や巨大病院などの外来ではそれこそ5分診療であっても、休み無しで働いて昼食もままならないような忙しさの中で朝の9時から夕方過ぎまで見ている先生も沢山おられるのです。
そんな中で入院中の患者さんの状況も刻々と変化するわけですから時には外来中に入院患者さんが急変して外来をぶった切って他の先生にお願いせざるを得ない瞬間などもあるわけで、兎にも角にも忙しい日の(そしてほぼ毎日大変忙しいのですが)医者は、それこそ気づいたら右から左にガンガンと仕事を流すだけで夕方になっていたなんてことも”よく”有るわけです。
勉強も毎日しないといけないし、人付き合いも時にはしないといけない。でも心の余裕が無くなってしまうと患者さんに対する会話も通り一遍のものになりかねません。その点は自分としてはどんなときにも疎かにならないように注意しておりまして、自分の受け持ち患者さんでない方から話しかけられたときでも可能であれば世間話くらいは少しして、相手の方に笑顔を作ってもらえるように心がけています。
実はそんな時に患者さんがボソッと、それこそヒソヒソ声で病棟のケアや受け持ちの先生、ヘルパー、看護師等に対して感じている本音を漏らしてくることが有るんですね。私が臨床に戻ってたったの三年ですが、こういったことが本当に頻繁にあって、その中には病棟の問題点を客観的に鋭く抉っていて自分自身も常々”そこは問題だな”と感じているようなことを話してくるもので私も思わず師長さんや同僚の医師にそういった話を伝えて意見を求めることもあります。
自分たちが診ているつもりが、実際は患者さん達に観られているという訳なんですが、システムの中で病気だけを診て患者さんの人間の部分を見落とさにように気をつける日々です。
2 件のコメント:
smallGさん、本当にいい先生ですね。
私が名古屋住みで病気になったらお世話になりたいわ~
私は、、、全然臨床の知識たっぷり技術タップリのハイテク先生方とは違う50の手習いでございます。
ですから、難治性の疾患やレア度の高い疾患等はみな大学や高度医療機関へと協力を依頼しておりますし、そうするべきだと心の底より考えております。ただ、それ以外の場合は自分の両親や家族がこの病棟に入院したら自分ならどの薬を出してどう接したら喜んでもらえるのかということを全ての判断の基準に据えております。ですから、患者さんや家族の方々には退院時に先生でよかったと言ってもらえるのが最高のご褒美だと思っております。(たとえ嘘でもお世辞でも。)
兎にも角にも病院などとは縁遠い生活を送られてください。心よりそう思います。医療機関が流行らないような世の中が良い世の中だと思います。自己矛盾ですが。w
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