2015年6月8日月曜日

新しいC型肝炎の治療薬が続々とやってくる!

アメリカの保険会社の利益をごっそり削った新しいC型肝炎の治療薬ソバルディ・リバビリンが日本でも遂にこの5月末に発売になったようです。

C型肝炎の治療は今までもペグ・インターフェロンとリバビリンの併用などが有りましたが、これはGenotypeIa,IbとGenotypeIIで用いられてきましたが、人によってはキツイ副作用で非常に苦しまれるような患者さんもおられ、治療中止となることも有りました。
また、I型は日本人の七割ですが、II型にも効く上記のソバルディ・リバビリンがまず登場、そしてI型に関してもレディパスビル・ソバルディ合剤が登場してくる可能性があります。(認可申請中)

なんだか、治験では恐ろしいほどの効き具合を示しているような記述も見られます
どう考えても、分子標的薬といいう新しい医学の力が新たに示された画期的といえるだけの素晴らしい治療の進展なのですが、このソバルディ、アメリカでは一錠千ドル!と言われており、それを一日一錠四週間服用することによって治療していくとして、薬の粒代だけでも基本的には7x4x1000x125=三百五十万円以上掛かる可能性があります。当然、日本での薬価はグッと下げられてくるとは思いますが。

無論、こういった薬はヤタラメッタラどんな病院でも出せるようには絶対にならないはずで、お役所としては特定病院にジェノタイピングをしっかり行なわせた後、きちんとしたプロトコルの枠にはまった治療を行わせることになるはずです。そうしないと厚生労働省的には日本の医療費を加速度的に押し上げることになりますから。いや、それでもぶっ飛ぶほど医療費は上がるでしょう。間違いなく。

ただ、ここは考えどころでして、たとえ一時的に医療費がブーストされてもこの方々が今後C型肝炎から肝硬変へとなり、それに対する集学的治療を行うことによって発生する長期的医療費の事を考えると、最終的な収支は充分に元を取るのではないかと考えられるのではないかと思うのですが、そういった点を厚労省は既に計算しているはずなのですが、どこかにあるんでしょうか。もしどなたか御存知でしたら教えて頂くと嬉しいのですが、、、。(医療経済学的な見地からだけでなく、治せるものなら当然苦しまれる方々を助けたいというのが医療の世界。)

また、今後は肝線維症の延長上にある肝硬変の病態を「線維化の治療」という点で押し戻してくれるような分子標的薬剤送達システム(DDS)の登場も治験の真っ最中とのこと。何だか我々が医学部の学生だった頃とはもう本当に「隔世」の感がありますな・・・。肝炎どころか線維化した臓器自体も治療の対象とかほんまに凄いっす。
我々が学生の当時に大学で習っていた頃の医学知識自体も今のおじいちゃん先生達からしてみれば隔世の感があったのでしょうが。このところ、translational researchと言う名のもとに進められてきた医学研究の考え方に基づいてその進歩に加速度がついているような気もします。(ただし、勝ち残れなかった方法論にも当然のごとく多額のお金がかかっているわけで、ますます製薬会社の巨大化無しでは研究自体が進まないような時代になっていくようです。)

我々その成果の使用者たる末端の医師は、結局時代の進歩についていくためには常にこの世界では勉強しておかないと話しにならないということですよね。これって、どんな分野でも普遍的なことですし!それにしても、新しい治療薬の登場で昔は「夢にしか(夢にもではない!)」考えていなかったような薬を自分たちが使える時代になって来たんですな〜。

実に素晴らしいことです!!これからも時代を画すような薬は時々登場してくるのは間違い有りません。
生きているうちに、想像を超えた分子標的薬が登場してくれることを願ってやみません。(それが日本発ならなお嬉しいですよね。)

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