要はお互いの技術とデザインに関する特許をどういった点でどのくらい侵害しているのかという論争で、その特許を使っているお互いの製品の販売差し止めと特許使用料の支払い、販売によって被った損害の支払いを求めることが最終目標。無論、お互いに最高の弁護士と最高の法廷戦術を突き合わせての激しい戦いで、会社の存亡をかけてやるあっている。生前にJobsが「アンドロイド(サムスンが採用する基本ソフト)は盗作だ。残りの人生とアップルが銀行にもつ預金をすべてつぎ込んでも、叩き潰してやる」と言って戦闘態勢200%で臨んだ試合です。後任の温和な人物ティム・クックは和解で何とかしようとしたようですが、数日前に持たれた向こうの会長との和解に向けた会談が不調に終わった挙句のこの判決。
この判決の結果に関してここにレビューがありますが、最低10億ドル!の補償がサムスンからアップルに向けて行われるべきで、アップルからサムスンに対する特許の侵害は無かったというふうに結論づけられています。実際には韓国系米国人のルーシー・コーという女性判事がサムスン側の弁護士に怒りをぶちまけたという記述もあります。これを記した日経では「一部には「韓国系判事が、米韓を代表する企業の訴訟を担当するのはいかがなものか」という声もあったが、今回の裁判を見る限り的を射ていないようにみえる。コー判事は両社の弁護士に怒りを爆発。特にサムスン側の弁護士には「罰してほしいのか。発言をやめて座りなさい」と怒鳴り、話題を呼んだ。」と書かれています。このハーバード卒の弁護士経験を持つコーさんの両親は韓国の軍政が大嫌いでアメリカに逃れるように移住してきた人物ですから、韓国系だからといって決して(多分)韓国の肩を持つ等という事はなく極めて理路整然と裁判をうまくまとめていこうとしているようです。
(下手をすると)コー判事の最終判断次第でこの罰金が三倍にまで膨れる可能性があるということですからサムスンにとっては少々痛い話ですね。少々というのは儲け自体の増額からするとこの額は少ないという意味ですが、サムスンは粉飾決算の疑いが持たれている国策会社ですから、どれほどの現金を絞り出してこれるのか未知数。
また、ここで実は罰金の金額以上に問題になるのはサムスンという会社への人真似小猿的なイメージの定着(我々はもとから知っていますがw)と、新しいソフトの開発をグーグルとともに進めないといけないという事実。実際この裁判はサムスンを経由したグーグルとアップルの代理戦争と言われていましたからこの負けは二次的にそのOSを使っている日本の各社、そして携帯電話の会社やハードウェアメーカーに波及してくるわけです。
よっぽど捻くれた見方をしない限り、この判決は携帯の中で重要な要素を占めるちょっとした使い勝手の差、しかしものすごく重要で決定的な使用感の差が継続的に使えなくなってくる可能性があります。例えば、一番下までスクロールした時に終りの部分でビヨーンと一回跳ねるグラフィックとか、二本指でピンチして拡大縮小するというような極自然に人間がそうしてみようとする物凄く基本の部分での特許が許されなくなるわけですからアップルの対抗馬にとっては存亡の危機です。
まあ、次のiPhone5出たら私即で買いますが。
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