2012年8月29日水曜日

アメリカのポスドクも就職難

今日はUNCを卒業後、NIHでプレドクとして研修を積み、更にJohns Hopkinsでドクターとしての研修をした後スコットランドのラボで二年のポスドクをし、更にホプキンスに帰ってきて一年のポスドク期間を設定し働いている女の子、、、(とは言ってももう三十後半なのですが)とFBで遣り取りをしていてその就職難の話をついつい長く聞いてしまった。
私は相槌を打つことしかできず、問わず語りという形だったのですが、その就職難の酷さは日本のオーバードクター達の涙無しには語れない話と多くの点で相似を成しているのでは?と思いました。彼女が持っているのはここ7年で自分の名前を載せた13本の論文と、これから確実に出てくる二本の論文。(13本は所謂その世界でのベンチマークになるような雑誌にも掲載されています。)
既に数十のCVを推薦状とともにその関連のラボに送っているのですが、なかなか色よい返事がもらえません。彼女も当然のように理解しているのですが、NIHから配分される予算がゴンゴン減っている上にこの数年更にドラマティックな減少を見せる可能性が大なのです。彼女の嘆き節には「バイオ関連のポスドクなんかするんじゃなかった、、、。」というもの。医学部に行く以外の目的ならバイオコース自体を選択せずコンピュータサイエンスを選択するべきだったと今になって後悔してるというのです。
研究自体は面白いと思うけれど、衣食住のお金にも困るような状況では継続して研究のことを考えるのは辛いという、実にまっとうな理由を何度も苦しげに話してくれました。自分もポスドク時代既に三人の子持ちでしたから、彼女の気持ちは痛いほど解ります。アメリカでもこれ、日本だけではありません。日本は文科省の創りだした阿呆プロジェクトの弊害がその多くを占めているとも言えますが、アメリカまでこうですから、、、。
因みにポスドクを雇用したくてもR01一つでは精々一人を雇うのが精一杯なのです。そこもわかって頂きたい。そしてそのR01は今やトップ10%とちょっとという激烈な低採択率。今年老いている教授たちが40前後の頃のお花畑のようなヤワな世界では全くないのです。若い人達を何とかしないと、アメリカは何時まで経ってもアメリカ人のバイオ研究者を輸入品だけで賄い続けることになりますな、、、自然と。今までもそうか、、、。orz
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