この記事は「海水を混ぜて作るコンクリートの話」で、普通の技術者だったらまず「有り得ない!」と言って忌避するはずのチャレンジなのですが、この人は違いました。
一見すると退職前の冴えないオジサンに見えるんですが実は言い出したら聞かない硬骨漢なのでした。人は見かけによりません。(特に技術開発系は!w)開発開始当時にこの成功の核を作った二人の男性は既に60前後でしたが、猛烈な情熱でこの「有り得ないと思われていた」プロジェクトを成功という
岸辺にまで漕ぎ着けさせたのでした。
そして最後に出てきた話。
開発成果を公表する前、金井は当時の土木学会会長だった岡山大学の阪田憲次名誉教授などコンクリート研究の重鎮14人に客観的な分析を求めた。すると、このうち12人が「実は私も可能性があると思っていた」と話し、大林組の挑戦を高く評価した。
これが技術の世界でさえも実は普通の事なんでしょう。権威といわれる連中でさえ後出しジャンケンのように成功を目の当たりにした後「実は私も、、、」等というのは技術者としては恥を通り越して、敵の陣地の前で白旗を上げて完全に負けを認めたということなんでしょうが。例え一瞬そういう技術的可能性を考えても(夢想しても)、それを実行しなければ結局「株の売買」と一緒。騰がると思っていた!等という戯言を吐いていようがその株を買っていなければ結局はフシアナ。何もしなかった、出来なかった、そして一歩を踏み出す勇気がなかったということで、人の懐には関心の無い株の評論家と同じレベル。w
しかし、人間たとえ技術者であろうと科学者であろうと、残念ながらほとんどの連中は(勿論自分も含めて)なかなか確立されたと思われているドグマに対しては抗いきれないのが普通なのでは無いのでしょうか。特に教科書に載って既に十年とか、二十年とか言うような記述内容。
権威には反抗できても、エスタブリッシュされたと思われているコンセンサス(だからといって常に真実ではない)に対してはナカナカ人間弱いものです。その点で思考を止めてしまうのが多くの
凡夫の定めなのでしょうが、そのトラップから自由であることが出来る極少数の優れて知的かつ情熱的な人達のみがこういった重大な仕事を成し遂げるのでしょう。
こんな記事を読んだ後は、凡夫の一員たる私も大いに自戒しなければと思うばかりです。
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