買い占めは起こっていないと。見ていなくても断言する。(笑)
政府の言ってることなんかもはや誰も信じていない。小田嶋隆氏が何時もやってるコラムでの一文がそのすべてを端的に語ってると思うんですけどね。
本当のところ、そんなに露骨な買い占めが横行しているのだろうか。私は疑問に思う。 トイレットペーパーやインスタントラーメンについて言うなら、確かに、買い物客がいつもより多めに買っている傾向はあるのだろう。が、それにしたところで、一部の消費者が品薄の不安から必需品を確保しようとしているだけの話で、誰も「買い占め」というほどの量を買いためているはわけではない。そもそもトイレットペーパーのような、「売り場の棚を占有する割に利益の薄い」タイプの商品は、売り手の側が、在庫を置きたがらない。だから、ちょっとした需要の増加でたちまち品切れになる。品切れになれば、当面、行列は沈静化する。それだけの話だ。なにも東京の消費者が被災地に買出しに出かけているわけではない。東京のスーパーの売れ残りが、そのまま被災地に発送されるわけでもない。とすれば、蓮舫大臣のあの言い方はあまりに一方的だ。 ガソリンにしてもそうだ。乗っているクルマのガソリンタンク以外に、別立ての保管用タンクを持っている給油客が何人いるというのだ? スタンドに給油の列ができたのは、品切れの不安を感じたドライバーが駆けつけたからだ。が、それ以上に、そもそもガソリンが品薄で、多くのスタンドが閉店していたからだ。「買い占め」という表現も不当だ。だって、ドライバーは、自分のクルマを満タンにしただけで、他人の分のガソリンを買い求めたわけではないのだから。それに、一度満タンにした以上、次の給油までには、当然期間が開くはずで、ということは、問題は個々のクルマの走行距離であって、給油の有無はバッファーに過ぎないからだ。つまり、蓮舫大臣の「被災地に支援物資が……」云々の発言および、枝野長官の買い占め自粛要請は、言いがかりだということだ。でなくても、一定量の責任転嫁を含んでいる。そう申し上げねばならない。要は物流がうまくいっていないのだ。その不満を政府や業界に向かわせないために、彼等は、燃料不足の原因を「愚かで利己的な消費者」(←つまりわれらの「隣人」ということ)に押し付けようとしている。 |
東日本大震災 原発一色の官邸…生活支援は後手に
毎日新聞3月19日(土)3時39分配信
東日本大震災発生から1週間。菅直人首相は官邸に泊まり込んで「戦後最大の危機」の陣頭指揮を執った。18日の記者会見では東京電力福島第1原発の危機を乗り切る「決死の覚悟」を強調した。だが、官邸が24時間態勢で原発対応に追われる中で、実態がなかなかつかめなかった被災者支援が後手に回る事態へと陥った。
首相退陣論も広がる中で明けた11日朝、首相の外国人献金問題が発覚。政権の致命傷につながりかねない政治的危機は間もなく発生した大震災でいったん棚上げになったが、国全体が原発事故の大惨事に見舞われた。「逃げるな!」首相が怒りを爆発させたのは翌12日午後。同原発1号機の水素爆発から1時間以上たって東電から通報が届き、首相は電話越しに東電幹部を怒鳴りつけた。「こんなことをやっていたら会社がつぶれるぞ」と責任の共有を求めたが、その後の対応は「専門家の東電に任せる」(首相周辺)という判断をした。だが、事態は好転するどころか、水素爆発は3号機でも発生し、惨事の連鎖が始まる。同原発からの「全員退去」を打診してきた東電に首相が乗り込み、統合連絡本部を設置し「日本と東電の運命は一体」(政府筋)の態勢を構築したのは発生から4日たった15日。与野党から「対応が遅すぎる」との批判が上がった。首相は16日、面会した笹森清内閣特別顧問に「福島原発が最悪の事態になったときは東日本がつぶれることも想定しなければならない」と語り、首相として原子力事故と戦う巡り合わせへの思いがしばしば「歴史的使命」という言葉となって首相の口をついた。
しかし、思いだけでは組織は動かない。首相が局面の打開を託したのは北沢俊美防衛相だった。北沢氏が首相からの電話で呼び出されたのは16日午前、防衛省での記者会見中。大量の物資輸送作戦に加え、爆発事故が相次ぐ中、3号機の沸騰状態の使用済み核燃料プールの冷却化に自衛隊が上空から散水する作戦が検討された。「やらせてください」。17日、防衛省作戦センター・中央指揮所にいた折木良一統合幕僚長が北沢氏に電話で伝え、間もなくしてCH47Jチヌーク2機が史上初の「原発冷却作戦」へと飛び立った。放射性物質との戦いという危険な任務だったが、「危険を顧みずというのが我々のスピリットだ」と自衛隊幹部は決意をにじませた。だが、18日、東京消防庁や東電との統合作戦を率いるに至って自衛隊には不満も漏れた。自衛隊は作戦の指揮拠点となる「最終調整所」を現地に設けることを決定。しかし、具体的な協力態勢は定まらず、自衛隊に明確な「指揮権」はないままだ。統幕幹部は「最後は自衛隊が泥をかぶれということか」と憤った。
原発事故対処に振り回される政府の危機管理に懸念を持った民主党は手薄となった被災者支援へと動いた。「枝野(幸男官房長官)さん、疲れているね」。17日の政府・民主党連絡会議で輿石東参院議員会長は話しかけた。原発と被災者支援の2正面作戦が官邸の能力の限界を超えているとの危惧があり、「秘策」を披露した。「仙谷由人代表代行を官房副長官にしてはどうか」。官邸も提案を受け入れ「首相は原発、仙谷さんは被災者支援に特化する」と役割分担した。この官邸増強策を政府関係者は「官房長官2人体制だ」と漏らした。
対応が遅れた背景には府省間の調整不足も目立ち、民主党政権が掲げる政治主導の機能不全も指摘された。枝野氏は18日、大震災発生後初めて各府省の事務次官を集め、連携して被災者支援に取り組むよう指示した。【須藤孝、犬飼直幸、坂口裕彦、吉永康朗】
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