ある患者さんの存在で病院全体が困っています。
ほぼ私と同じ年令の患者ですがいわゆる「アル中」の方でして、周囲の誰もが認めるボンクラでして、クズという言葉を三次元にしたらこの男になったという感じでしょうか。
精神科の方でも本人に「治療の意思」が無いということで入院は認めず、、、というような人物なのですが、生活保護をもらって朝から晩まで病院の待合室で大声を上げたり、日曜日も勝手に病院の待合室に入ってきて将棋盤をひろげて他のいつもつるんでる患者と対局したりと、マア勝手のし放題なのです。
しかし私自身がこの人物の存在を知ったのがつい最近。
それまでは、「何かしらんけどいつでも病院のあちこちでセカンドバッグを持ってうろついている人」くらいの認識でしか見ていませんでした。患者さんにしては病棟では見ないし、どこの暇人じゃろう?とは思っていたのですが、ある日私の内科外来にやってきて「観てくれ」と言ってきました。
足をどかっと投げ出して、横柄な態度で入ってきましたが、(お、あのオッサンがやってきた。)位の感じで診察を始めたところ、勝手に滔々と喋る喋る、、、まあ、本人が口の疲れたところで話の腰を折ってヒストリーをとりだしたところで実は精神科にも入れず酒もやめる気もないと言うようなことを言い始めましたので、(これは時間の無駄)と感じ、長い列を作って待っている他の患者さんの為にも診察を終わらせることにして、「今日はどういったことで?」というように診察モードに戻すと「風邪かもしれんでPLくれ」と言ってきました。
少々喉がイガイガして鼻がグズグズするとのことでしたので、喉や鼻を診せてもらいましたがほぼ一切の炎症所見はない感じです。ただし、御本人がそういうのですから3日分に限って薬を処方しました。
こういった診察の「ショッピング」をする人間が居るのは良くあることなので何の驚きもないのですが、このオジサンとの診察室での遭遇はその時が初回。
そして本日、久しぶりにやって参りました。同じように横柄な態度。今回は周りの看護師さん達からこの人物がどれほど病院内の迷惑な行いで蛇蝎の如く嫌われているか伺っていましたので、少し用心しての診察開始です。
帽子もとらずダランと脚を投げ出してこちらの話を聴き始めたので、まず「ちゃんと座って」というと、意外な言葉を聞いたような感じでこちらを凝視しましたが、ちゃんと座りなおしました。
ひと通りの診察を終えて過去のデータを元に今後予想される内臓疾患や循環器系の疾患のリスクについて諄々と説明したところ、「俺は死ぬんかい?」とか極端なことを言ってきましたので「生活習慣、食習慣の変更、アルコールの摂取量を減らす等の行動を取り始めないと体が内側から静かな悲鳴を上げてます」と更にわかりやすく例えて説明しました。
この時はどうやら事務長のところに行って気の弱い事務長の所にクレームをつけに行ったようで、私の所に事務長が心配そうな顔で「先生何かXXに言われました?」といってやって来ました。
私は「何時も普通に患者さん方に話す如く対応して説明を加えただけですよ」と説明し、事務長も「あ、そうですか」と何故か即座に納得。w
しかし、こういった患者は全国の病院に遍くいるようで、ネットで「病院」「迷惑」「対策」などの言葉でサーチをかけると出てくるは出てくるは・・・。山のようにその対応策の講じ方が出ていました。
そろそろ、事務方や他のドクター達と話し合ってこの手の「特異な患者」に対する「対策マニュアル」を作らなければならないと感じました。
こういったことは野放しにしておくと他の病気を治しに来ている「その他大勢のまっとうな方々」に迷惑がかかりますので、最終的には法執行機関の力を使って対応することにでもなるのでしょうかね。
何時の世も、どこの世界にも必ず一定の割合でこういった連中はいます。彼が塀の内側に落ちないことを、彼を育てた立派な両親の為に祈るのみです。
0 件のコメント:
コメントを投稿