病院で働いていると否が応でも医師が接する世界は看護師さん達の世界。
職業人として互いにナースステーションで職務を通じて接している時に自然と流れている看護師さん達同士の言葉や雰囲気なんかの諸々のコミュニケーションから感じる世界は独特です。(特に私のように基礎系のラボで教職を務めていた浦島太郎にとっては!)
このナースステーションと言う区画には資格の発行元が違う二種類の看護師さん達が働いているのは患者さんたちからは余り意識されていないのかもしれません。その二種類というのは正看護師と准看護師。
(病院によっては正看さんのみを雇うとか、准看さんでも可とかいろいろと条件が違うのですが、国が音頭を取って正看さんだけを看護婦として育てていこうという試みは私が日本を発った15年前も当たり前のように正看だけになるであろうと言われていた世界は21世紀の今になっても未だにどこにもありませんし、、、。一体全体国はどうしていきたいんでしょうかね。)
私の病棟は圧倒的に女性看護師さんが多いのですが、看護師さんと言っても年配の方は未だ准看の方も沢山おられますし、仕事を変えてこの世界に入ってきた女性にもやはり准看さんが多かったりするのも事実です。
やはり、正看護師の資格を得るまでの期間や敷居の高さの違い、そしてもうひとつはその正看という資格をとるためにかけなければならない授業料のことも無視できません。
最終的にはペイオフするはずの授業料と時間ですが、やはり人間は今日を生きないといけないという時にご飯代を削ったり、子供さんの塾のお金を削ったり、家族のために割かなければならない時間を削ったり等という事をしてまで正看の資格に拘れないという個別の事情があることもまた事実で、そこをunderestimateすることは出来ません。
実際にシングルマザーであっても、この資格があればこそ頑張って家族をサポートしていけているなどという看護師さん達も日本全国に大勢いるわけで、その点では准看・正看という地方の首長が認める資格と国家資格の差を埋めるのは時に物理的、経済的に容易でないという事実を理解しなければならないと思います。
国の報告によると准看護師さんというのは年齢の平均が正看護師よりも高くて(当然、高齢の看護師さん達は正看護師でない方も多く)、給料の差は月にして二万から四万程度で、ボーナス込みで年間に60−70万の差がつくと言う感じのようです。これは良く考えるとベースの差ですから、退職金は大きく変わりますよね、、、。
ランクの違う2つの資格を持つ人達が同じナースステーションで働いてはいるものの、正だから仕事ができて准だから仕事が出来ないなどという単純なものでないことも皆様お察しの通りです。
ステーションでは傍で見ていて仕事も人間的にも良い人なのに何だか皆の輪の中ではあんまり馴染んでいけてないな〜などという若い看護師さんもチラホラ居て、(私は何も言いませんが)何だか可哀想だなと感じてしまうこともしばしばです。
でも、病棟が変わればそこでは活き活きとしていたりするものですからこれはナースの世界に限らず一般的な職場におけるヒト−ヒト間のコンパチビリティーの問題なんでしょうかね。
複雑そうなので私はこの手のことには一切触れないことにしております、、、。クワバラクワバラ。
4 件のコメント:
こんにちは。今日初めて、このブログを見つけました。Atomさんは、リッチモンドで仕事をされているのでしょうか?この前後の投稿は、名古屋ということなので、もう、引っ越されたのでしょうか? 私は、去年リッチモンドの病院で実習をしていました。
アメリカだと、看護師は、かなり多くの種類がありますね。ところで、こんな記事を読まれた事ありますか?
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2998339/
アメリカと日本の看護師さんの違いを聞かせていただきたいです。
はい、私は今でもリッチモンドと名古屋の間を往復しております。今は仕事は名古屋ですね。
家族が未だあちらに残って子供の大学進学を待っている状態です。(一番下の子供は二重国籍の上に日本語に関しては読解力がメタメタなので日本の大学は無理ですし。)
さて上の論文興味深く読ませていただきました。
U-Pennからですね。仮説と結論ともに面白いとは思いますが、メタアナリシスの論文、いつも個人的には苦手でいつもレビューを避けてます。w
このレベルのメタアナリシスになるとsociologistであるラスト・オーサーが手取り足取り指導しているのだと思いますが、この論文の結論は取り敢えず頭に豆知識として入れておきます。
アメリカの看護師さん達もRNを始めとしてほんとうに色々と充実した分業化が進んでいる上に給料も安定して高いですよね〜。
いつも病院の周りをクロックス履いてカラフルなスタッフ用の作業衣を着てウロウロしていましたが特に私から彼らのことに興味をもったこともなかったので敢えて何も聞いたりはしませんでした。
ラボの目の前にはschool of nursingの巨大なビルがあったのにも関わらず何回かセミナーに行ってその教授陣が発表する講演内容の質の低いものが多く、それにガックリ来て行かなくなっちゃったというのもあるんですが、、、。
民間で働いている看護師さん達も本当にフレンドリーで自分の仕事に誇りを持たれて仕事をしているのがよく解りました。(無論中には勘違いしてる輩も居ましたがそれは国境を超えて同じだと思います。w)
リッチモンドのどこで実習されて居られたのでしょうか。またチャンスが有ったら教えて下さいね。
St. Maryです。ご存知ですか?
丁度、oncologyのフロアーが改装中でした。今は、綺麗になっていますよ。
勿論知っております!
地域の大規模病院の一つですもんね。
また通りかかった時にはこの投稿のことを思い出すことでしょう。 ;)
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