2013年4月10日水曜日

ロシア科学アカデミー

今日はロシア科学アカデミーから、ラボヘッドのもとにポスドク候補が一人来ました。
まあ、五年ポスドクをロシアでしてこちらにプレゼンにやって来ているということなので、多分ファカルティーを目指しているのだろうとは思うのですが、今日のはちょっと戴けないレベルの酷さでした。
まあ、英語はそれなりだとしても、自分がやってきた研究のコンテンツのプレゼンテーションが酷すぎ。まず、行ったプロモーターのメチレーションの研究と、癌細胞へのデュアルプロモーターを使った自殺遺伝子の誘導に関する実験の説明がありました。これらの一連の実験における幾つかの前提、及び仮定が明らかに間違っていました。
次に問題だったのは、そのプレゼンに関連した質問を行なっても一般的なサイエンスのロジックに従って、聴衆が「それなら納得!」というように理解可能な応答が出来ないことでした。
ポスドクというのは本来独立一歩手前の人間ですから、自分の研究に関する質問であれば、どんな質問であってもある一定のレベルを満たした応答が出来なければいけませんし、現時点では解らない点に関しても、これまた一定レベル以上の自分なりのスペキュレーションを述べることが出来なければなりません。
自分の研究範囲以外のことであっても、発表者自身による適切なイントロダクション(研究対象である分子の性質や知見に関する概説、及びその発表者自身のデータ発表)さえあれば、これまたサイエンティフィックに妥当な質疑応答がなされるのがこの世界の日常です。
しかし、今日のポスドクはそれが出来ていなかったのが残念でした。たとえそれが誤ったものであろうと、質疑応答を通じて妥当な解決点を自ら納得する形で引き出せばよいのですが、今日見た感じでは、そういう質疑応答の訓練が全く出来ていないなという感想を持ちました。
あの感じだと、残念ながらセカンドポスドクも長くなりそうだなと思いました。独り立ちにいたってはかなり怪しいものでしょう。
しかし、ロシア科学アカデミーといえば彼の国の最高峰の科学水準を誇る研究機関ですし、過去には数学や物理で綺羅星の如く大勢のスター・サイエンティストを生み出して来たのです。彼はミュータントなのか?だとしたらドミナント・ネガティブなのでしょうか。w
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