ここバージニアも、暖かくなったり寒くなったり、雨が降ったり風が吹いたり、天候の不順な日々が続いています。
こういうときに良く考えるのはこの気候の変化をまともに肌で実感せざるを得ないホームレスの人々の事。日本でも経済環境の極端な悪化でホームレスの人やホームレスに秒読みでなってしまうであろう人々の切実な声がネットに溢れているが、実際のところどれほどの増加なのか具体的な数値が見えてこない。しかし、真面目に仕事をしていても会社が「不要」という一言だけでその人たちを切ってしまうのは、まあ会社としては三流なんだろうなと思う。そういう意味では殆どの会社は自分の存続のためにはそういうことをせざるを得ないような三流の会社であるわけで、トヨタもその例外では無かったと言えるのではないか。まあ、表に出てくる経済環境の悪化を口実にさっさと派遣の人々を切り捨てるという意味では「法律上」は問題ないのかもしれないが、法律上問題ないからこうしてもいいのだというような事を言っていたら人の住む世の中上手く回るわけが無いわけで、いわゆる上場企業というようなところはその辺りの事まで含めて倫理的な行動規範を元に世間から注視されることになるのだと思う。社長込みの数人でやっている寅さんのおいちゃんちの隣にある朝日印刷じゃないのだから、家族全員が路頭に迷う前に何とかというような話では無かろうに、景気の良い時はトヨタ銀行などと呼ばれるほどの蓄財をしておいて、景気が悪くなればすぐこれでは市井の人もトヨタやキャノンに好印象を持つまいと思う。結局は社会の中における自分の企業としての価値を見出せていない「理念無き会社」ということなのだろうか。
こちらのホームレスの人も住宅ローン問題を話題に持ち出すまでも無く、実に様々な理由でホームレスになっている人々がいる。どこかの馬鹿な政治家のように仕事を選んでとか、怠けているから等というような「オリコウサン」の人生をまっすぐ歩んできただけの人には到底窺い知ることの出来ないような複雑な裏話が満載なのだ。慢性疾患の治療から来る医療費で破産する人、家庭内暴力、レイオフ、会社の倒産、浮気、精神遅滞や統合失調症などの精神疾患、両親の貧困からくる教育機会の喪失とそれに伴う就職選択の機会激減など、娘の友人の母親が運営しているリッチモンド近郊のホームレスの人々の援助機関に入ってくる人々がどういう人々かという対話で窺い得たのは「本当に一人一人ホームレスに至るまでの過程が複雑でとても一括りに出来るような話など無い」という物でした。そのホームレス状態も長く続くと精神が磨り減って平坦になってしまう人もいるわけで、心の枯れてしまった人を助けるのは物やチャンスを与えるだけでは救えない別の問題も生み出すことになる訳です。
行政に携わる人間にどれほどこの事実に対する認識があるのかは、残念ながらまあ、推して知るべしということでしょうか。自助努力ではどうにもならないネガティブなイベントというのが人生にはあるのですから、そこから次のステップに至る繋ぎの部分を助けることこそが社会福祉というのではないでしょうか。
自分にはそんなことは起こり得ない
皆そう思って今日を生きているのでしょう。私も出来ればそのようなことは避けたいと思っているし避けるべく行動をしてきたつもりですが、こればかりは判らないものです。
蛇足:何だか派遣村を巡る動きって言うのはきな臭いものを感じるが、勘違いか。
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