2023年5月5日金曜日

予言が現実として迫ってきた

息子と二人で新鮮な空気でも吸うべいと地下鉄に揺られて休日の栄に行ってみました。

そもそも何処に行こうなどという確たる目的も無しなのは「もとより」で、気が向けば金山や大須にでも行って次に酒や焼鳥を胃袋に入れるのに向いていそうな、昔からやっているような古びて小汚い昭和風の酒屋でも見つけようという感じで家を出たのでした。

もとよりその様な感じでの出立でしたから、何処で降りようというような確たる目的もなくいろいろな行き先の起点となり得る栄で取り敢えず降りたのでした。息子にしてみれば鉄輪の付いている地下鉄や列車こと「ぽっぽ」に乗れることだけで先ずはその日が幸せになるわけですから、息子のハッピー・フェイスを見ること自体が親父の自分には眼福です。

息子と手を繋ぎながら親子で歩くわけですが、時々ちらりと我々のお手々繋ぎをみる視線を感じますが、私としては慣れたもの。ゲイ?みたいな感じで見られているのかの~?などとフト思ったりもするのですが、そうだとしてもいつもの事で全く問題ないのでした。w

ただ、息子と2人で歩く時の問題点は彼自身が大手を振って楽しそうに歩くためにすれ違う人などにちょこっと手が当たってしまうことがあるのです。そこを最大限注意しながら歩くのは時に人混みの中で気疲れすることもありますが。(稀に実際に手が当たってジロリと睨(ね)めつけるオジサンなどもおりますが…。その時は私が頭を下げています。)

さて、そんなこんなで栄のタワー下にやってきていろいろなバンドやグループが様々に集まって明るくやっています。もちろんその周辺には高校生前後の女の子たちが集まって楽しそうに手を振ったりダンスしたり。中にはメチャクチャ歌の上手いボーカルの男性も居て、大阪からやってきたどこかのグループでしたが、伝説の路上ライブなんて云われる日が来るのかもしれませんね。

そこを通り過ぎて息子と何かを食べようという感じでオアシス21の方へ行きました。女子バスケや女子ラグビーのプロを集めていろいろとイベントをやっていましたが、その中に「ついに来たか」と思われる景色が目に飛び込んできました。

それは中国の大手自動車会社BYDの宣伝ブース。そこにはBYDAtto3が展示してありました。周りには余り人があまり集まる様子もなく閑散としてはいましたが、私は内心「遂に来た!」と大きな衝撃を受けました。日本上陸のことをニュースでは聞いていましたが、実際に眼の前に登場してきたのをみるとショックでした。世界第二位のEVメーカー。国策企業とは言いながら、それは以前の日本も同じ。勢いのある企業の登場はまさにADVENTです。

以前もちょろっと書いたと思うのですが、アメリカに居た頃、大学の中国出身のテクニシャンの女性に「中国の車がアメリカを走る日が比較的早くに来るかもしれないよ」と話したらその方は鼻で笑っていたのですが、私は真面目に「いや本当だって。人口の多さとマーケットの規模が有る所で、必死でやる気のある知的な人間達が頑張ってレベルを上げてきたら必ず強敵になる」と言って話したのですがそれでも笑われました。

あれから十数年。眼の前には日本に上陸した中国の電気自動車が。

まあ、車自体は私も見ずに遠巻きに眺めてそのまま去りましたが実は物凄く印象的なことが!それはBYDのブースでカタログ整理をしていたスーツ姿の男性が物凄いイケメンであったことでした。

「彫刻のような」端正な顔立ちで、恐らく中国の方だろうと思うのですが、男の私から見ても非の打ち所のない、誰が見てもマイナス点を入れようがないような顔の方でした。帰り道も「あんな顔で生まれたら逆に人生困らんか?」という気にもなりました。w

みんなに見られてしまう様な容姿容貌の方々ってどういうふうに生きて行くんだろうと感じた完全非イケメンの己でした。


2023年5月4日木曜日

西村賢太揃い踏み

本屋でなかなか揃えられなかった西村賢太の作品群。

この連休を利用しない手はない!と思いつつ少しスタートダッシュが遅れましたが、先ずはアマゾンもフルに活用して取り敢えず13冊揃いました。苦役列車が手始めでしたが、その「わたくし」小説の描写のどぎつさに私は読んでいて思わず声を出さずに高笑いです。

どこまでもどこまでも脂ぎった青春の敗北感をその劣等感とかき混ぜるようにしてこれでもかと読み手に見せつけるその攻撃的な赤裸々感は読んでいても「これはちょっと女性の読者にはどう受けるんやろか?」と考えてしまうのです。

実際の所、書いてある中身は本当にコレでもかコレでもかというくらいの連戦連敗の青春記。しかし、その内容はチャレンジや成長などというような明るい未来を予期させるような記述は何処にも無いという若くして既に未来の無い敗戦記のようなド暗さがあります。しかし、その根底にあるのはマグマのような熱情だと思います。というか劣情と言ったほうが正しいのかも。

その男の劣情剥き出しの様子は普通の小説では決して表に出てこないドロドロの背脂。触ってはいけないデーモン・コアのような大変に危険な臭いがしてきますがそれは男性にとってはまた違うものであると感じます。そういう意味ではこれは読み手を選別する読み物だという気がしました。勿論男性でも西村氏の「私」小説を読もうという人間は絞られることと思います。

酒を呑もうにもアルコールをそもそも体が受け付けない人には「はな」(<西村風w)無理であるように、呑める人には味を峻別できるものなのかもしれません。無論、呑める呑めないに上下の別などありはしないのですが、呑めたほうが人生幅が広がるような気がしないでもありません。

今回も「苦役列車」収録2篇目の(落ちぶれて袖に涙の降りかかる)の最終段落で涙がポロッと落ちてしまいました。

残りの全てを読み終わってまたどんなもんだったか書こうかなと思いますが、その間にも残りを集め続けたいと考えています。

久々に出てきた読みたい小説の群れです。


2023年5月3日水曜日

企業人としてアメリカに赴任するということ

アメリカの我々家族が住んでいた家に日本の駐在員の方が住んでくださっています。

御家族でお住まいなのですが、日本の方なので本当に家をきれいに使ってくださるし、なにか用事がある時のミュニケーションもお互いの常識やニュアンスのレベルが同じなので大変助かっています。

既にバージニアに赴任されて数年経ち、最初は全く英語の話せなかったお子さん方も滅茶苦茶ネイティブになられている様子。小さな子供達の言語への適応というものは恐ろしいほどのものであることは私自身が身をもって知っているのですが、そのお子さん方もこの夏頃を目処に帰国されるとのことでしたので、私としてはちょっと勿体ないなと言う感じがしないでもないのです。お子さん方自身もそれと同じようなことは親御さんに話されているとのことでしたが、やはりお子さんなりに感じるものもあるのでしょうね。

私の場合は研究者でしたので、予算とポジションがある限りは自分が「もうそろそろ潮時だな」と思うまでは時間の長さを自由に変えられたわけですが、企業などから駐在員として派遣されているような多くの標準的な日本の方々は、現地採用でもない限りは本国である日本の本社の意向に沿って駒のように動かされるわけですから、それが1年だったり10年になったりと全く不安定なわけです。

会社によってはある程度現地にいる人達の意向を汲んでくれる所もあるようですが、企業によっては3年の約束が5年になったり10年になったり、もう家族の意向なんて全く関係ない感じで使う所も結構あるようです。

私のように住めば都でどこででも給料さえ手に入って楽しく生きていければそれで良いというような極楽とんぼ系の人にはそれでも良いのでしょうが、企業の中で出世の階段を登っていきたい人とか、海外暮らしが嫌で嫌で堪らないような人達にとっては海外赴任の長期化は「心労」の元なのかもしれませんが…。

いろいろな話をいろいろな企業の方、官公庁の派遣の方などにも今まで伺った事が有るのですが、海外での赴任が箔付けになるところもあれば出世コース外れ組のような事に取られる企業もあるとかでまさに様々。しかしまあ、私に言わせれば2023年にもなって働く場所や国が出世に関して何らかの予測を誘うということ自体がアナクロの一言で嗤われるようにしか思えないんですけど、沈みゆく日本の沈みゆく企業にはそういう基準が未だに残っているんでしょうかね?

私はアメリカに赴任されている多くの日本企業の方々がアメリカに1年、2年と暮らしていく中で「明らかに」日本に居ただけでは得られなかった多角的な視点を持って日本に帰っていかれる様を何度も何度も目にしてきました。中には企業を辞めてまでそのままアメリカに住まわれる方も居ました。

別にアメリカに限ったことではありませんが、人種、宗教、常識が違う国の中で自分達を見つめ直す時間を持てるということは「有り得ないほど素晴らしい時間」だと思うんですよね。願ってもない!とはこの事ではないでしょうか。

今でもアメリカに住まわれている方、そしてこれからアメリカに向かわれる方々。何事も挑戦です。前向きに挑戦することが何よりも尊ばれる国で頑張って何も失うものはありません!

私は今でも戻って住みたいなと思うくらいです。娘達がアメリカで子供を育てるような状況が発生したら「良い理由」になるんですけどね…。


2023年5月2日火曜日

働き方改革の影響

いろいろな仕事場で働き方改革法案が導入されてきました。

実際の所、医療業界アルアルになってしまうのですが、人の健康の番人であるべき医療従事者達の中でも医師こそが最もその改革に乗り遅れることを許されている状況になっています。実際に全ての勤務医に対してもそれを守らない者に対して時間外労働の罰則付き上限規制が適用されることになる訳です。

どんな法にも罰則が付かないとそんなものを守ろうとしないのは夏休みの宿題と同じ。怒られるから、期限があるから、それを守らないと「XXX(<ここにはありとあらゆるものが入りますが)」になるから、と言うような理由でみんな尻を叩かれるように動くのが普通です。(それ無しで出来る人は世の中で偉くなれる人です。w)

案の定、医師の場合は5年の猶予期間という訳のわからない猶予期間が付与されていたのですが、それも愈々来年の4月からは逃げられなくなって参りました。皆、実際にこのほうが思考されるとどうなるのかと現場の事務方や医師などはいろいろなことを考えていますが、大きく変わるのが当直体制でしょう。

いわゆるタイム・カードなどを使っての管理がなされていなかった医師が多くの病院では普通に居たのですが、今後はまさに時間単位での管理に移行していきます。一定時間以上の勤務に関しては50%増しの賃金を出させたり、当直明けの連続勤務を禁止したりするだけでなく、総量規制もしていく訳ですので外のバイトの時間なども影響してくることになります。

そしてそれに従わなかった管理者たる院長などに対しては勧告のような形で通知が届き一定期限以降に改善が見られなかった場合には一回ごとにウン十万円という罰金が課されるようです。恐らくは闇で働かせて勤務時間を誤魔化すことに協力を迫る医療機関が全国で大量に出てくると思われますが、必ずやチクリの嵐となるでしょうな。

そうなった時の罰金は怖いくらいになる筈ですので、多分ほかの一罰百戒のような摘発事例を横目に多くの医療機関はそういった事をしなくなると思います。

今回、当院で新たに作成される方向となった医師の雇用契約においては今まで個別契約として当直義務などの無かった医師に対しても月に一回はそういったものを入れる事を以て常勤医師としての雇用契約を作成しているとのこと。実際私にとっては何てこと無い事で、寧ろ仕事が楽になる方向に動くという訳で事態を寿ぐしかない立場なのですが、一部の高齢の先生やそもそも当直を拒否していた先生の一部にはこれを以て常勤の契約から外れる人々が出るような雰囲気で、私にとっては不公平感を解消する良いニュースです。

男女雇用の平等という意味でも実は女医さん達にも大きな波は押し寄せているようで、今までは育児の云々という名目で中学高校生をお子さんに持っているような女医さんであっても当直や週末の日勤業務は免除されていたのですが、それも愈々終わりになるようです。それが課されたくなければ非常勤へどうぞときっとなるんでしょうね。

当院におられる女医さんには意外と冬の時代かもしれませんが家庭において御主人の協力を得られない一部の女医さん方にとっては厳しい年度の到来となるのかもしれません。

法とともに時代は移ろっていくのでしょうが、日本の医療はどう変わっていくのでしょうかね。


2023年5月1日月曜日

次男とのお別れの式

仕事をしている時に嫁さんからLINEが入りました。

「6-7時の間に自宅訪問型のペット葬儀を頼んでいます。(火葬してくれるワゴン車が来ます。2時間位かかるらしい。)」との連絡。家に置いてある生前の持ち物を見るだけで涙が止まりません。」との事。今日こそは仕事をきちんと時間内に終えて家に帰ることを心がけました。

家に帰ると、昨日の姿勢と変わらず我が家の次男スプーキーが冷たくなったまま小型犬用のソファの上に静かに横たわっていました。6時になった時に玄関のチャイムが鳴りました。やってきて下さったジャパン動物メモリアル社というところのM下さんという方でした。ネットの評判を嫁さんたちが検索して評判が一番良いところとして選んだようでした。我々が選んだのは家族立ち会いによる個別葬儀。

家に来られた後、次女と嫁さんと私がM下さんの説明を聞かせていただいた後、スプーキーの体をハッカ油を含ませた白い布を使って我々三人の手で綺麗に毛並みを揃えてあげました。それが済むと、長めの綿棒に含ませた末期の水をその小さな口に三人それぞれが少しずつ含ませました。最後に次女が右前の足に小さな小さな、本当に小さな可愛い数珠をくぐらせて終了。
ここで一旦葬儀社の方はマンションの下に降りられ、火葬の準備をされるということで時間をくださいました。

その間に我々家族はスプーキーが天国で使えるおもちゃや食べ物を準備するとともに、三人がそれぞれに手紙を準備。私はスプーキーが読めるかな?という事でなるべく易しいひらがなで「またあえるよ!むこうでまっててね。おとうさん。」と書いて二つ折りにして入れました。

暫くすると電話が鳴りましたので、固くなった体を次女が優しく包んで少し風の出ていた外に降りていきました。この時ばかりは事情の良く解っていない長男も一緒にエレベータに乗って一緒に降りました。不思議そうな顔をして冷たくなったbuddyを見つめていました。

降りた所は最初に打ち合わせた通り家の裏側。大きな白いバンが停まっていたのですが、素晴らしくコンパクトな火葬システムが積み込まれていて、そこから引き出されたお焼き台が引き出されていました。その上に掛けられていた白いグラスウール製?の綺麗な敷物の上に体をそっと置き、回りにおもちゃ、ハイチュールやいちご、ご飯などの食べ物、そして周りに花弁を綺麗に敷きました。そして嫁さんは自分のTシャツを折り畳んで配置。

嫁さんと私が最後にスプーキーを触ってキス。次女は離れられないという感じでじっと触っていましたが、キスをして離れました。最後に葬儀社の方が扉の前に立って「これが最後の本当のお別れになります。よろしいですか?」と話しかけられたのですが、意を決して最後に私がお願いしますと言って扉の向こうに消えていくスプーキーを見送りました。

その後は直ぐにスイッチが入れられ火葬が始まりましたが、マンションの上から見ると車の上には煙突用に穴が開いておりそこから赤い光が漏れていましたが実に静かなものでした。部屋で待つこと40分ほどで再び連絡が入り下へ降りていくとお焼きが終わっていました。驚くほどに綺麗に白い骨だけになった様子を見ることは私にとっては悲しいというよりも逆に神々しい不思議な感覚がありました。

葬儀社の方がそこに焼いたままの状態で配置されている骨の一つ一つに説明を加えてくださり携帯用のメタルのカプセルに入れられるような爪先や尻尾の骨などをカプセルに入れた後、ほぼ全ての骨を箸で三人で回収し骨壷に収納。この骨は粉骨にしていただき、更に小さな骨壷に入れてその上から綺麗な骨壷袋に入れていただき渡していただきました。そのうえでラミネート・カードの中に生前の可愛い姿で写ったスプーキーの誕生日、死亡日、四十九日の日付が書かれたカードを頂き全てが終了しました。

本当に驚くほど心のこもった丁寧な葬儀で、評判が良いのも当然!と思える素晴らしいものでした。他のどの方にもお勧めしたいきちんとした葬儀で価格もリーズナブル。こんな素敵なシステムが有るのですからやはり日本は成熟した文明国ですよね。

次男が虹の橋を渡っていく時にこうやって送り出せたことは最後に我々自身を幸せにしました。本当に葬儀社の方には深い感謝しかありません。

部屋に戻る時に次女がスプーキーの骨壷を抱えて帰ってきましたが、飾り棚の上にちょこんと置かれ小さくなった次男を見てまたポロッと涙が出てきてしまいました。

自分より後に産まれて自分より先に旅立っていく小さな命を見送る心の辛さは有り得ない程のインパクトがあります。これが私が小児科医になることを敢えて避けた理由でした。愛でる気持ちが大きければ、その別れを看取ることが続く辛さには耐えられないのです。