それぞれの趣味の世界でしか通用しない言葉や符牒というものがどこにでも何時の時代にもあります。
研究者の世界でもそうで、長い時間かけて溜め込んだ実験上の手技や論文の知識やアイデアなど、到底同じ研究者同士でないと「訳が解らない」ような話がどこででも展開されます。
しかも、研究者同士であっても分野や扱う分子、疾患が違うと、常識的に慣れて使っている言葉や辞書が違うので、イントロ無しでは我々研究者間でも話されているコンテンツを追いかけるのが困難な、違った分野の研究というのも沢山有ります。(数学や工学でも似たようなものだと思います。)
鉄道マニア、カードコレクションのマニア、昆虫マニアなんて言う「メジャー」といっては語弊があるのかも知れませんが、そういったよく世間に知られたマニアから、もう「とうしろ」からみたら全く意味不明のものまでw実に人の知識や好奇心等の趣味趣向が向かう方向は様々ですよね。だからこそ、逆にその多様性が面白いわけです。
研究も全く同じです。時々本当に「おー!」というような実験結果を出す人がいるから面白い。特に自分の知らない分野であればあるほどそれがもしかしたら自分のやってる仕事に関係があるんじゃないかと考えたりして人の発表が終わった後に、色々と文献検索で勉強したりするのが良くあります。だから、チャンスがあれば他の全く違う疾病や分子を研究している人の話を聞くのはタメになることも多いのです。(そうでないことも等しく多いのは秘密ですが。w)
ただ、好きなコトだけをやっていればいいとはナカナカいかないのが科学の世界の辛い所で、仮説を証明・検証する過程で塗炭の苦しみを味わうことは実に普通なわけです。おまけに、その結果が自分のオマンマのもとになっている訳ですから、失敗ばかりしていると、、、ということになりかねません。
実際、いろんな人がいろんな事をやっているから研究というのは多様性を保ちながら発展していくわけで、流行りのことばかりを皆が同じ方法と道筋だけで追いかけていたら、それがダメと分かった時の崩壊のレベルはレミングスの大量死と同じ世界だということになります。
幸い、世の中の研究者は流行好きな人、我関せずの人、その中間、上の人、下の人、右の人、左の人と色々なレベルで色々なことをやっているおかげで、「裾野のひろがり」が大きいのです。
我々良く言います。半分冗談半分本気で「お前がどんなに斬新だと思ったアイデア、瑣末な分野のアイデアでも世界にはすでに同じ事を考えて実験してる人が5人は居る」等といいます。
まあ、5人で済めばいいのですが、、、と言ったところあたりが正直なところです。(笑)
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