2011年1月13日木曜日

暗黒日記

寝る前にいつも本を読まないと眠れない。たとえ五分でも。
今読んでいるのは太平洋戦争中にずっとつけられていた清沢洌の暗黒日記。

岩波文庫から出ているものだが、これが頗る面白い。戦争の中で出ていた様々な愚かしい軍部の動きや日々の言論統制を事細かに記して尽きない。この日記自体は短縮版で、実物に近いのはちくま学芸文庫から出ているようだが、この短縮版を読むだけでも、「日本人とは、日本とは」という事に関して非常に明快な事例を読み手に返してくる。
これを読むと「日本・日本人の本質は何も変わってない」ということに誰もが納得するのではないだろうか。日本人という記号の中に組み込まれた本質が何であるかということを省みることが出来る良い本だ。特に政治の流れにおいては、いつの時代も日本人が持つ思考様式が「これでもか」という極端さで出ていたのがあの大戦中の日本だと思う。自虐史観もいらないし、皇国史観もいらない私のような人間には、単にその日に起きた出来事を時系列ごとに正しく羅列して記してくれたこんな記録が最もデータとしては信頼できるような気がしました。右の人間も左の人間であろうと、この本は一度は読んでおくべきものだと思う。英語版もあるらしいので、娘にはもう少ししたら薦めようかなと考えている。
終戦直前の五月に病を得て亡くなっていますが、この人の頭の中ではもう終戦の数年前から敗戦後の日本の姿とその再構築がクッキリと見えていたみたいです。
まあ、勿論、明日のことも見えていないあの市民運動家の成れの果てがこんな本は読んでるハズもありませんが。

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