2011年1月15日土曜日

レンチ・バイラス

最近の遺伝子ノックダウンは本当に簡単、快適だ。
一昔前は、御手製のオリゴを一生懸命デザインして、幾つかの候補をリポフェクションやエレクトロ・ポレーションで細胞に導入してその発現をハラハラしながらウェスタンやqPCRで確認していたものだが、それももうすっかりしなくなって久しい。
発現を落とす理論的・生物統計学的背景が非常に集中的に研究された結果、少なくともオリゴの設計は単にターゲットシークエンスを既存のウェブベースのプログラムに入れてそのアルゴリズム通りに吐き出されてくるシークエンスをオリゴとして発注すればよいし、近年はそれすらせず、会社単位で同じようにして設計し、かつレンチ・バイラスの発現システムで使えるように組み込まれた幾つかのターゲットシークエンスのコンビネーションセットが簡単に見つかるために、時間を稼ごうと思えばそれをちょこっと使うだけで、ほぼ間違い無く最低でも50%以上のKDが簡単にできる。
おまけに、通常はセレクションマーカーも組み込まれているので、それらに晒してやればあっという間にstable transfectantsがウジャウジャと取れてくるのだ。レンチのおかげで発現も強力で、細胞の休止期分裂期を問わないし、かなり高濃度のセレクションマーカーに晒しても殆ど細胞が死なない。それほど効率よくバイラスがインフェクションしてくれるのだ。
NIHに居た頃は、まだ限定的なラボで職人芸的にやってたことなのにな、、、。


十年一昔とはよく言ったもんです。

2 件のコメント:

Sammy (English), Hayato Minamoto (Japanese) さんのコメント...

なるほど、時代が変わると変わるもんですね。φ(..)メモメモ

small G さんのコメント...

いやほんと、こう簡単になると、昔の苦労を語るのはただのオッサンのような気がしてきます。DNAの抽出は昔はQiagenやSigmaのキットなんて無かった!等というのが野暮ったいという感じですか。(笑)ただキットを使う諸君の中には混ぜ込む試薬の原理を全く考えない若手が増えてきたのも間違いない事実ですが、、、。