2009年11月5日木曜日

クール・ジャパン(笑)

物の見方というのは多面的にいろいろな人が見たものを更に外から眺めることによって「岡目八目」的なものにもなりかねませんが。(笑)
たまたま配信されてきた日経ビジネスオンラインの記事の一つに実は“下り坂”のジャパン・アニメ~騒いでいたのは関係ない人たちだけというのが有りました。
記事を読んでの感想なんですが、こういう記事を書く人たちって言うのは、何だか何でも「統計処理可能な貿易量の推移」みたいなものにその論拠を置くんでしょうかね。例えばこの記事を書くことを例にとれば、日本アニメの世界におけるコンテンツの売上高を例にとって「日本アニメは実はもう産業としては縮小だ~、退潮傾向だ~、下り坂だ~」とラッパを鳴らされてるわけですが、たとえそれが本当だとしても一言言いたいのは「ちょっと落ち着け」という感想。まあ、何だかこの手の投資関係者というのは株式市場のメッセンジャーボーイ的な人なんでしょうが、なんでこんな世界を語る資格があるんでしょうかね。実態統計に反映されない世界の登場の当然ご存知だと思いますが。

読んでいて非常に気になるのは、まずはこれらの主張の論拠が薄弱なこと。そしてもう一つ気になるのはその主張がアジテーションになってしまっていて、私の一番嫌いなセンセーショナリズムを多用している点。間違ったデータを用いた間違った仮説に基づく誤った推論と結果提示。科学の世界でもこの手法を使って徹底的に叩かれまくる人たちが後を絶ちませんが。マッチポンプ記事には何時でも何処でも辟易しているのですが、日経もネットではクオリティーペーパーたり得ないのですかね。

こちらに住んで十年以上過ぎて思うことは、日本アニメのアメリカの子供達へのますますの浸透。特に娘達のアニメにアクセスする手段が全く昔と変わってしまったことです。昔は日本のおばあちゃんに漫画を着き位置で送ってもらったりしていたものなんですが、今はほぼ皆無。気に入ったものを細々と注文するだけです。では漫画を読む量は減ったかというとその逆。数倍に増えてます。(親としては時にストップをかけないといけないのですが。)
学校でも多くの日本のアニメファンがいてその数は隠れも含めて相当なものだと思いますがその子達がアニメを読む手段はほぼ完全に「インターネット」からなのです。動画、漫画全てのコンテンツがありとあらゆるサイトからあっという間に翻訳(娘達の読むサイトに多いのは英訳)されて登場します。本当にその週の少年ジャンプから昔々の漫画まで冗談抜きに「何でも」読めるのです。まあ、間違いなく著作権なんてものは全く考慮されてない事は想像に難くないのですが、こういうところは謂わばネット上に漫画の図書館があるのと同じ事で誰もお金は使いませんよね。統計的には絶対に貿易統計に出でるわけも無い訳で、これほど凄まじくコンテンツがデジタル化されていたらグーグルの出る幕も無いなと思うほどです。

まあ、金を手にしたい人たち、これを一大産業にしたい人たちはそれが金銭に反映されないことは大いに不満なんでしょうが、個人的には「ほっとけ」とという程度の話です。みんなが飢餓感を持ってこれだけのサイトを構築してコンテンツを流せば当然それだけ実物としての「マンガ本」の売り上げは減るわけで、それは「趨勢」という一言で済ませるだけでは無いかと思うんですが。
お金の欲しい投資家達には生活に関る大問題なんでしょうが。(笑)

JASRACもアメリカの音楽業界もCDの売り上げが云々といってますが、実態は皆ますます昔以上に音楽とは離れられなくなっているわけで、店頭やオンラインストアでの売り上げをもってその世界のトレンドを語ること自体が不可能になっていることにまだ気付かない人がいるということ、そしてその人たちが主要なメディアで頓珍漢な論陣を堂々と張っていることにまた驚くのでした。多分アニメも動画漫画に関らず、需要は高まってもコンテンツがデジタル化可能なものである限り、お金にはコンバートされないコピーが無限に出回り、人気は有って、有名にはなってもお金はある程度までにしかならないというような感じに更になっていくんでしょうね。

まあ、この世界、僕のゴミコメントなんか勿論無くてもなーーんにもか構わないし、日経の記事なんかで憂国ならぬ憂アニメ産業なんかを他人が心配しなくても、世界は時と場所を変えて興隆を繰り返すわけです。百年後、二百年後に日本にはそういうものがあったというだけでも良いではないかとは思えないんですかね。国家が保護しないとその世界の構造を維持できない産業なんて所詮それまでのものでしょう。

今でも海外の家で趣味のいい部屋に日本の浮世絵のコピーがさりげなく置かれていて皆に愛でられている、なんていうのはそれだけで充分、日本文化の拡散を感じさせるんですが。それが将来はアニメのセルに変わったりして。こうなるともう詫び寂びの世界ですか。金や社会的地位が無いと自らの矜持を保てない人達にはこういう話をしても無理かな。

通産省の官僚が予算獲得の為にしてる話なんて現場のアニメーション作家や漫画家には何の関係も無いでしょ。ホント、くだらないの一言です。大体アニメがクールジャパンなんて誰が言い出したのか。どっかのインチキハイパーメディアクリエーターかな?(笑)私にはクリエーションに関係ない人達がいつもクリエーターからどうやって金を搾り取るか考えてるのが「投資の世界」にしか見えませんね。まあ、ご本人達は投資による産業育成という錦の御旗を振りたいんでしょうけど、裏が見え見えで。(笑)創造に関係の無い世界の人間が大所高所から御意見を発せられるのは構わないのですが邪魔するのだけは止めましょう。

あ、最後に。私はアニメおたくではありません。念のため。
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