2011年6月16日木曜日

研究は人の輪・和・話

癌研究を始めてもう優に15年以上になりますが、まあ、本当に最近は大変です。
何が大変って「お金・研究費」という意味で。日本の友人からも、基礎研究に割かれる研究費が一時期バブル状態にあったのが、大震災で結構大変なことになってしまったという状況があるとかないとか、、、。詳しくはわからないのでこれ以上は日本のことは書けませんが、アメリカは多分日本以上に大変ではないのかなと思います。
今メインであるNIHのR01の当選率は約12%前後をウロウロというところで、他に小型予算として分割されたものなどがあるのですが、色々なグラントを目指して多くの人間がしのぎを削っている状況で、リーマン・ショック後に大幅にGovernmentとプライベート・ファンドの予算が減額されています。
特に悲惨なのは後者のほうで、ファンドによっては「今年は無し」とか、例年の支給額の6掛けをとか、例年は十人、若しくは十グループに与えていたファンドを5つだけにしか出さないとか、、、、。もう、トホホな話の連続です。
さらに悪いことには、我々のような弱小・(比較的)若手研究者の間に、今までは考えられなかったような所謂「大物」教授達が、有り得なかったような少額グラントに割り込んでくるようになってきているのです。取り敢えず、「取れるものは全部攫って行け」という絨毯爆撃で、その爆撃跡は草木も生えぬ~という状態が往々にして発生します。さすがにこれは笑えません。
これに対抗していくには、若手、若しくは教授になって間もない連中は連合軍を組んで作業を分担していくのが最も効率的反撃法だと考えています。無論、一人でデッカイ研究費を幾つも取れるような優秀な人はデカイ研究費で潤沢に事を運べるでしょうが、そういう人は優秀だからこそ、上とも下ともきちんとした人脈の繋がりを持っている場合がほとんどです。(特に優秀な大ボスを持つ人が多い。)
研究は一人でするものでは決してありません。映画やテレビで出てくるようなマッドサイエンティストをイメージされる方も居るかとは思いますが、特にバイオロジーは多くの人のちょっとした手助け、協力、互いの専門領域の相互協力なくしては進歩は到底有りえないと断言できます。(他の科学領域の方も多分首肯して頂けると思います。)
ともあれ、我々が作る研究者の輪・和・話(討論!)が、最後に大きく花を開かせることを望みながら毎日研究に勤しんでいるのです。

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