2011年8月21日日曜日

一日中レビュー

今日はある雑誌から依頼された論文のレビューに一日かかりっきりだった。
最初はpdfを一度完全に読んだ後、比較的簡単なもんだなと思っていたのだが、読んでいくうちに細かいところで疑問点が雲のようにムラムラと湧いてきてしまった。(何時ものことですが。)その一つづつを丹念に調べあげていくうちに、調べる枝葉がわんさか出てきて、この論文の持つノベルティーに関して細かく検討をしていくうちに、ほぼ全てが「既知」の事実であり、結局は今までの実験結果を「ある重要なプライマリーの細胞系に」当て嵌めただけだということがバレてしまったということ。まあ、それはそれで無意味とは言い切れない点もあるのが判断のしどころというのもありまして、難しいところです。実際に、この人達のラボはこの分野では有名な某国の世界的なラボなんですが、、、。(何を読んだか一切推測できないようにするためにはこういう書き方しかできません。申し訳ない。)いくら有名なラボでも、これだけノベルティーが霞んでしまうと、正直、簡単にはGOサインなど出せません。こう言った点は其々の掲載雑誌の本来持っている「掲載基準」というものがありまして、(実際はその雑誌が其々持っている期待されている雑誌像とでもいいますか。)それに沿ったクオリティーを要求されることになります。今回の雑誌の場合はSomething NEW!!の割合が大きくなければなりません。
こういったサイエンスの世界における出版では実に様々な要素が絡み合っていまして、とても「クリーン」だけでは済まされないようなドロドロとした内幕もありますが、(実際の社会の縮図に近いものもあります。)要はクオリティーが高くないと有るレベルから上の雑誌からは歯牙にも掛けられないといった扱いを受けます。極端な例では、朝、電子的に雑誌社に提出してその日の昼には「ゴメンナサイ」で始まる紋切り型のメールでつき返されるというもので、この手の話は枚挙に暇がありません。要するにレビューにさえ回らないのです。(笑ってって、これも笑ってる場合ではないんですが!)
じっくり時間を掛けて読んだ今回の論文、実験は綺麗なんですが(データ偽造の可能性も含めて検討するのが常識です。)やはりノベルティーという大事な一点の問題で、今回の論文の評価は「チョメチョメ(秘密)」と言う所に落とし込みました。さあ、エディターはどう出るか、結果を待ちましょうか。

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