昨年の7月1日より私の住んでいるエリアで既に42人の逮捕者を出している意外な案件があります。それはタバコの密輸。不思議に思われるかもしれませんが、アメリカは50の「州」という名の実質的な独立国家が緩く結びついたような国。制度も法律もそれぞれに決められていて、時には州法と連邦法がその整合性を巡って裁判や議員間で争うことなどしょっちゅうです。ですから、州をまたいでの制度の相違を利用しての商売、犯罪も成り立つことになります。
さて、今回の法は昨年の改正でより厳しくなったもので、それまでもあったのですが更に厳しくなったもので、州をまたいでの25カートン(5000本)以上のタバコの輸送は第二級軽犯罪違反による6ヶ月の懲役及び$1000の罰金、及び市民としての罰則として1パック$2.5で上限を$5000とする罰金が「一回目の犯罪」に対して課されるのだそうです。(二回目以降は加算額が大きく増えていくのでしょうが、追加の記述を調べてません。)
何故こんなことが犯罪になるのかというと、タバコに課される州税が州によって大幅に異なるためです。例えばバージニアは全国でも最低レベルの課税額で、一パック30セントですが、NYではなんと$4.35です!更に連邦税などの諸々の課税を合わせると何と一箱にかかる税の合計は$5.85となります。その結果一パックのタバコが$12-$15という値段。VAではそれが$4.5ですから、その差額を考えると、1カートン10箱入りのタバコをVAからNYに運ぶと平均して1カートン$8.5x10で$85の利益となります。それが60個入っているシングルケースであれば一運び$5100の利益となりますから、一部の人間はやめない訳です。
で、実際に犯罪はどう行われるかというと、ミニバンなどに乗り合わせた数人の男女がタバコを売っている場所を廻っては買えるだけ買い込み、そのまま北上して行った先のタバコ販売店、その他で売り捌いて差額を利益としてあげていくというもの。要するにeasy moneyという奴ですね。
禁酒法時代のカナダからの酒の密輸とはまた違いますが、組織犯罪の温床になるかどうかは別として、少なくとも出来心の延長線でこれをやってしまう連中が多いようです。
今後の推移はどうなることやら、、、、。
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