先日もマスターコースの学生達のラボにおける指導の話をしたが、この週末は学生達がバイオケミストリーの定期発表会でプレゼンを行う原稿の下書きを訂正していた。一言で言うと、、、医学用語で言う所の「眼前暗黒感」に襲われてしまった。(笑)
やっぱり、英語が出来るだけでは科学の文章などというのは到底出来ないという事を再確認させられた。
科学英語と言えば、以前、飛行機の中で偶然隣り合わせになった英文学を教えているポートランド在住のアメリカ人女性と話し込んだ事があった。その折、彼女が話の中で興味にかられて、私に今持っている科学論文のいくつかを読ませて欲しいと言うので数報見せた所、「確かに現代英語である事は解るけど、、、。言葉の使い廻しから単語の意味まで、全然私たち英文学者の住む世界のものと違う」と言って、それ以上はもう触ろうとはしなかった。
当然と言えば当然で、所謂、この世界で使用する業界用語「Jargon」(我々の場合は医学生物学の専門用語)が解ると言われれば、それは同業者である事を意味するのである。同じ細胞生物学でも、少し対象とする分野(分子)が違えばもう話に霧がかかってくるなどというのは極めて日常の事で、その分子に関する前振り無しでは他人の講演の内容をはっきりとは理解できない場合も多いのである。
さて、脱線したので話を前に戻すと、、、。
まず学生達の記述の仕方が完全に散文調。おまけに使っている単語が科学の用語ではなく、SF小説の中で使うような「今、新たに考えました!」というようなシロモノ。更には英語の文章が拙い、文法に間違いが散見される、、、。「君たちアメリカの有名大学出身でしょう!!誇りを持って格調ある文章を書き給え~~。」と言ってやりたかったのだが。
本文、たったの400単語で良かったのに、実際には一人目の女子学生がほぼ半分、二人目の男子学生のものに至ってはほぼ原型を保ったのは数単語(笑)という悲惨さ。週明けには少しだけ小言を言うべきか、それともキッパリとかつにこやかに「かなりいけてたけど、少し手を入れた。」といって褒め殺そうかな。
経験から言うと、十分普通に苦労すれば、こんな彼らにも大量に科学の文章を読ませて発表と討論を繰り返せば、THESISを書かせる一年後にはかなり立派なモノが書けるのである。(なって欲しいという願望込み!)
悩めるオヤジです。
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