2017年5月29日月曜日

碁は人間のものになった

Googleのアルファ碁が遂に間違いなく世界トップの19歳の中国の柯潔九段を三連戦で三度ともグーの音も出ないほど圧倒的に倒してしまいました・・・。

碁の世界の人のみならず、碁に全く興味の内外野の人間でさえ”遂にその時がきた”という瞬間をこんなに早く迎えるとは、なかなか信じられませんんでしたが。チェスでカスパロフが、将棋ではトッププロ達が、そしてネット上での戦いに出てきた謎の棋士は(最終的にはアルファ碁と名乗り出ましたが)二つのメジャーな対局システムで、間違いなく世界のトップテン達と争ってそれぞれ60連勝と言う偉(威)業を達成し、”破竹”というより既に”神の領域”のレベルの強さに達してしまいました。

その上で、イ・セドルを打ち負かしたこの前の戦いよりも次元の違う進化を遂げてしまったアルファ碁のAIはもはや道具としては、のどかな時代に人とその速度を競った自動車が、やがて馬を破り、次に鉄道を破り、最後は時速400キロを超えるものまで登場した状況とそっくりです。人はやがてそれと競うのではなく、それを道具として使って仕事をするようになると言う意味で、もうアルファ碁は人が競争する相手ではなくなったということでしょうね。実際Googleもこのプロジェクトで人を相手に試合をするのはもうこれが最後にするとのこと。実際は勝利宣言ですよね・・・。

穿った見方をすれば、これで碁は再び人が愉しむゲームに戻ったと言うことでしょうか。

人が作ったチップとソフトが遂には作った人達自身の理解を超えたところで自己学習をして更にその技能を磨くという話は、20世紀であればまだまだちょっとしたSFの世界。ところがカスパロフを倒して20年にして10の60乗のコンビネーションのチェスの世界から、10の700乗のコンビネーションを持った碁まで制してしまったというのは驚異的です。
自己学習で何百万局でもやってしまうAIには学びにおいて疲れというものがありませんし、サーバとCPUに電源が入っている限りは進化を止めません。ちょっと恐ろしいですね。

今回の試合、流石は世界最高の柯潔、第二局では100手前後まで最も接戦で、アルファ碁のよみと19歳の柯潔の読みがほぼ間違いなく一致していたという話もあります。それでも負けた後は席を外して嗚咽していたという話もあります。真偽の程は不明ですが。解説していた世界最高峰のトップ棋士達もアルファ碁が打つ手を解説しきれない場面が何度もあったとかいうことですが、それでこそ「神」の領域に達した証拠なのでしょう。

そのうち、チップの性能が上がりさえすれば手のひらサイズのマシンでさえ世界最高の棋士が勝てない時代がかならず来ることでしょう。

正直な所、作成した人間も含めて人にはもう理解できないレベルで”思考”しているAI。将来的にはやっぱり映画のような良くない世界が来るんでしょうかね・・・。

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