2017年2月26日日曜日

いねむり先生

今「いねむり先生」という伊集院静氏の書いた本を読んでいます。

いねむり先生とは私の大好きな阿佐田哲也のことです。純文学で文章をしたためる時に使う名前は色川武大。意外と一報の名前しかしらない方も多いとは思いますが、二つの名前が同一の人物であるということ自体も世間では繰り返し繰り返しテレビ番組や文章で報せられてきましたのでご存じの方も相当数に登るかと思います。

私が阿佐田哲也のことを知ったのは麻雀放浪記という小説を読み始めてからの話です。
これがまた極め付きの個性に満ち溢れたギラギラした連中がそれこそこれでもか!という具合に次々に出てきては知恵と技術の限りを使って博打の世界で生きていく話でいわゆる”ピカレスク・ロマン”という世界。

高校生の私は当時ちょうど受験期を迎えていたのですが、勉強そっちのけで阿佐田哲也の書いた本を文字通り読み漁っていました。色川武大という純文学者のことを知らないまま。秩序などどこにもない混沌とした戦後の一時期を数々のアウトローたちが知恵と腕で戦っては一敗地に塗れていく様子に心を踊らせない男はいないんじゃないかと思うんです。

そんな本を書いている人物が実は本名は色川という名前で純文学を書いていると知った時は本当に驚きました。著作はそれなりにありますが、超多作とは程遠いと思っています。しかし、出す本が素晴らしい。気がついてみると純文学の方も多くの賞を受賞しております。

ナルコレプシーという睡眠障害(現在ではオレキシンという分子が関与していることが解っています。)に後半生は大きな影響を受けた先生ですが、人間を見る視点、透徹した眼力とでも言いますかその客観性と独自のものの切り口には同じ人間として”全く敵わねえな”と思わせる人間解析力のレベルの違いを嫌というほど思い知らされます。

ネットで検索するまで知りませんでしたが、この本は映画にもなっていたんですね。日本不在の期間が長かったっていうことを間接的に示す事象の一つですな。

いねむり先生の書かれた本また読みたくなってきました。九州の実家においてある本をまた手許に持ってくるかな?

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