2017年1月31日火曜日

眠りとお金の闇の部分

昔から”寝る子は育つ”等と申しますが、いまだに睡眠というのは本当に謎が多いのです。

友人に睡眠分野の研究者が二人おりますが、20年位前からその人たちのお話を聞いていても”睡眠”の研究はミクロのレベルでもマクロのレベルでもまだまだ解らんことだらけだな〜って本当に驚かされてきました。

私達眠りの専門家ではない普通の医師にとっては、睡眠は患者さん達の入院中もしくは外来通院中の人達にとっての大きな日常生活上の問題として常に解決を突きつけられる”医師にとってもほぼ日常の問題”そのものなのです。しかも、かなり切実なリクエストとしての。

眠りをコントロールしてあげることは、患者さんからの信頼を得るための大切な行為です。ところが、医師側としては患者さんが薬に頼る前に患者さんたちにはまず変えてもらわなければならない幾つかの生活習慣、一連の日常の行動変化への指導などがあるんですね。しかし、そういったことはなかなか言うことを聞いてくれるわけでもありません。特に高齢の方々は。w 

また、若い方々の場合は不眠というより生活や仕事の上で必要な夜更かしの生活習慣そのもので昼夜逆転と言うパターンも非常に多いので、この場合はなかなか医師といえども”相談者が必要に迫られて”選んでいる夜型生活に口をだすのも憚られますし、なかなか”微妙な問題”でして、実際には難しいものです。

そこで、医者が出すのはどうしても次の一手としての”お薬”というパターンになることが多いのですが、これも実に成分も作用も様々。薬効別に製薬業界では巨大なマーケットが形成されておりまして、実に様々な薬が時代時代のチャンピオンとなることを求めて種々の薬を毎年のように出してまいります。

いまの流行りはオレキシン受容体拮抗薬。実際の名前はベルソムラという製品名なのですが、この薬の使用が燎原の火のように医療現場では広がっています。ただし、この薬は大変良い薬でもあるのですが、副作用の発生、特に悪夢を見ることが通常よりも増える傾向がありまして、患者さんから真顔で「先生、久しぶりによく眠れたんですけど本当に怖い夢を見ました」などと言われると、口まで「あ」と出そうになることがあります。

実際には処方前にきちんとそういった可能性もお話しているのですが、患者さんはそんなことはあんまり聞いてくれておりません。その瞬間の最大の関心は「今晩その薬が効くか効かないか!」ということ。まあ、普通ですよね。とても患者さんを責められません。

そこで、再度説明して、その副作用が消えないようであればまた薬を別のタイプに・・・と言う事になります。

依存性、その他の副作用を形成しやすいベンゾジアゾピン系の睡眠薬と言うのがあるのですが、”効き”と言う意味では比較的効果を実感しやすいものの、この処方を漫然と続けてしまう医師が多いために薬から離脱できなくなって依存してしまう患者さん達がゴマンといるのもまた事実。

これは医師側の問題でもありますし、その”依存”に陥った患者さんが病院を転々として薬を手に入れようとしたり、その患者さんが転売目的で、またはそれらの薬がほしい患者さんに売りつけるための闇のマーケットまで昔から公然と存在しているのですから、これって実は大きな社会問題なんですよね。

眠りとお金なんて、関係ない人には全く関係ない世界なんですが、実は世の中にはそういった世界があることもまた知っておいていただいて用心しておくのもよのかもしれません。

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2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

一度だけ病気じゃないんですが入院したことがあって
トイレ以外はずっとベッドにいなさいと指示され、腰がだるくなるほど横になっていました。
昼間は本を読んだりテレビを見たり時々寝たり見舞客と話したり回診があったりして
なんとか時間がつぶせるのですが、夜は困りましたね。
眠くないのに本を読むための明かりやテレビの光は同室の方達の迷惑になるので
何にも出来ずに暗くて静かな病室でじっとしてなきゃいけないのがた~いへんでした。
その点、いまなら布団の中でスマホ(許可されてたら)を見られるからいいのかも知れないですね。

small G さんのコメント...

わかります。私も入院したことがありますので。
ただ、私の場合は心臓のオペだったので(以前、このことは書きましたが)動くも動かないも”動けない”状況でした。w

夜の病棟の件ですが、患者さん達の寝ている病棟でも翌朝になると(特に認知機能障害のない人ほど)「寝れない夜の退屈な時間の過ごし方」に困っているということで愚痴を言われることも普通です。
仰るように、そのように配光や音漏れに気を使われる(常識ある)方々は、余計に気疲れされるというのもまた納得です。

スマホも長い時間使うと眼と腕が疲れてきますしね。。。

何れにしても病院なんて言う所は本当に長く居るべきところじゃないと思いますよ。実際の所。
患者さん達には、真剣に「早く良くなって、出来るだけ早く病院から離れられるように頑張りましょう!」と時々話しかけてますもん。w