2016年4月17日日曜日

そこまでするんだね・・・

患者の話は全部が本当ではないという話は自分自身が患者として話をするときに100%時系列で詳細に本当の話をしたかって言うことを思い起こせば「そうだろうな」と納得できます。

しかし、そこを上手く聞き出して少なくとも診断や治療を行う上で可能な限り正しく判断する材料を掻き集めるとともに、大きな間違いを犯さないようにするのも医者の問診の腕前というものです。
入院時に看護師さん、社会福祉士、臨床心理士、医師などが患者さんから話を聞いていく中でそのストーリーに整合性が取れないことなどは”ごく普通”のこと。

話をしているうちに思い出して付け加わった話や、話しているうちに過ちに気づいて入る訂正、話し易い人にのみ打ち明けられる内輪話、付き添いの人から加えられる追加事項など多種多様です。
特に付き添いで来られた家族の人などからは「実は・・・」と言って全く患者さんの口から出てこなかった驚愕の事実とか、話してたことと”全く反対”の話が出てくることなどこれまた極普通で、驚くことさえ最近はなくなりました。

更には認知症状がある方などは誠心誠意思い出してもいろいろと記憶が消えていたり、最近のことが思い出せなかったり、特定のことばかり何度も何度も印象的に話をされるということもよくあります。

更には(病院といえども社会の縮図だと解るのですが・・・)過去の話が”出せない”ような方もたくさん居ることは間違いありません。私達医療者サイドとしては、過去の患者さんの正確なヒストリーが知りたいだけであっても塀の中に落ちていたころの話や多数回の離婚歴、今は音信不通になっている兄弟姉妹や親、子供のことなど訳があって話せないということもこれまた日常的。

こういう情報は社会課や警察の方から間接情報として入ってくることもあるのですが、患者さんの前では診療に関して関連がなければ”知らないふり”を装うことも愛情と考えています。ただし、患者さんの中には積極的に病気を作っている人もいるのでそこは要注意です。

例えば入院していて腹痛を訴えたりすることがあって熱が高いという場合に夜間は特定の血液データが取れないような時があります。しかし、実は患者さんが体温計を激しくこすって高熱を出し医師や看護師サイドをだまくらかしてくる事があるから要注意です。

整合性という観点からパラドキシカルな臨床症状を観た時などは真の病なのか詐病なのかという可能性まできちんと考慮に入れて診察と治療をしなくてはいけませんの厄介です。
こういう時には投薬がかえって副作用による医原病を造る可能性までありますのでね・・・。

経験豊かな先生からいろいろな話を伺い、最後に「先生、場合によっては患者さんのほうが一枚上手と考えておいてください」と言われハッとしたことから今日の記事を書いてみました。

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2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

「実は患者さんが体温計を激しくこすって高熱を出し医師や看護師サイドをだまくらかしてくる事がある」

その患者さんはいったい何のためにそういうことをするのでしょうか?
嘘の症状から間違った投薬や手術をされて困るような気がするのですが…

small G さんのコメント...

わかりません。

しかし、そういった行為を含めて病んでいるんだと思います。
本当に治療行為を発生させることもあり得ますので危険極まりないことなのですが、、、。