2015年8月16日日曜日

お薬と服薬

病院の外来と入院では患者さんがお薬をのむことに関して大きな落差があります。

入院中は看護師さんが持っていったお薬を患者さんにきちんと指示に従って配って、殆どの場合そのまま飲んでいただくというパターンが多いので、投薬された薬に関してはその量と投与間隔は比較的きちんと守られるわけです。(準備した看護婦と薬剤師側が間違えていない限りは!)

では外来で出された薬はどうかというと、、、まあ、自分自身も記憶がありますが、少なくとも医師が言ったようにきちんきちんと飲んでいるというような事は結構無いものです。
高齢者などの多くは、いくつかの病院をまわって同じ薬を大量に持っているような人もいれば、その大量の薬を家に貯め込んで袋が黄色くなるまで何年も持っているような人も「沢山!」います。

昨日薬を飲み忘れたから今日はその倍量を服用しようなんてい人もごく普通におられますし、最近は血圧低くなったからと言って勝手に降圧剤を減らしてそのまま脳出血で亡くなられるような方もまたおられるのも厳然たる事実です。
しかし、それを理由に医療従事者側が服薬が不規則な患者さんを責めるのは実に無理な話で、まさしく「にんげんだもの」的な理由で服薬されないのです。

これらの事象に対して我々医療従事者側は以前から服薬のコンプライアンスと言う言葉を使って患者さんが薬をのむことに対して「従ってくれる」事を期待していましたが、最近は患者さんに納得づくで「治療に協力していただく」一環としての服薬の遵守をアドヒアランスと言ってより進化した概念として使っています。

実際に英単語自体もcomplianceのもとのcomplyと言う言葉は人が矯正力をもって「従わせる」という意味であるのに対し、adherenceのほうは自らが意思を持ってadhere「付き従う」と言う感じですので、まさしくそう言った意味ではこれからの治療としてはあるべき姿を映し出す単語と言ってよいでしょう。

しかしなあ・・・そういった話を飛び越えて、薬をあちこちの医療機関で貰っては売りさばくロクでもない輩も大勢居りますしね。医療と投薬というのはなかなか難しいもんです。

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