2015年4月21日火曜日

誰にも愛されない人・・・

今日は大変な日でした。

ある患者さんがある病院から術後リハビリの目的で入院してこられました。
しかし、しかし、しかし、、、。この患者さん私が今まで観た患者さんの中でも、と言うよりも見た事の無い初めてのタイプのモンスタラスな患者さんでした。
まあ、極端な言い方をすれば恐るべきプライドの持ち主と言いましょうか、自己愛性人格障害者と言うのでしょうか、私にはハッキリとは診断をつけかねますが、そういう方でした。

兎に角、病棟に居るすべての人が自分より劣っているという感じの物言いで、ありとあらゆる方角から看護サイド、医療サイドに難癖をつけて怒りをぶつけ当たり散らす。周りの患者さん達を「こんなボケた気違いと一緒にして私を押し込めるの!」そして更には、、、と、これ以上はここに文章にすることを憚られるような文言がずらずらと並びます。

実は前医からの報告にはそれらの人格障害のことは記入されておらず、「易怒性あり」とだけ書いてあったのですが、息子さんに後から伺ったところ、前医院でも毎日のように家に「お引取り願います」とのコールがあったという事実が判明しました。
当院での問題行動と同様に、そこでも看護師さんや他の医療人に対しても暴言等が続いたそうですが、そこでは暴力は無く看護師さん達がその患者さんを完全に無視することによって「滞在」することだけは許されていたとのことでした。

某女子大を御卒業の高齢者で、私の母親と同じ歳でしたが、息子さんとその奥様はもうホトホト困っておられるとのことで、いっそ認知症であってくれれば罪の意識なく施設に預けられるのに、等とボヤいておられました。
私は憔悴しきったその息子さんを見て本当に気の毒には思ったのですが、「内科病棟におけるスタッフに対する暴力は本来であれば強制退院の対象ではあるものの、倫理的に夜間に高齢者を外に押し出すような事は出来ない」と言って当院に迎えに来て引き取っていただきました。息子さんの御家庭の事も考慮し、少なくとも週末は居残れるようにいろいろと策を尽くして検討を重ねてみたのですが、不可能でした。

本当に苦渋の選択としか言えず、息子さんのお嫁さんも非常にこの方とは折り合いが悪く苦労されておられるとのことでしたが、認知症といえるレベルには知性が落ちておらず、人格障害という形で口ぎたない口撃やその他の物理的な攻撃をされ、治療も拒否される方は当院には置いておけないということで上記のような措置となりました。

迎えに来られた息子さんは大変良い方で、私と同じ歳だということも話の中で判り、いろいろと腹を割ってお話する時間も長かったのですが、結局入院から退院まで半日も居らっしゃらないという残念な状態での退院となってしまいました。

息子さん曰く、「蝶よ花よと何不自由なく我儘放題で育てられてしまった因果が、こうやって自分自身を苦しめているのに気づかない。悲惨です。」と、お母様の顔を遠くを見つめるように語っておられたのですが、その間も息子の顔をしっかりと見つめて、「何を貴方は他人に弱味を見せてるのよ!」等ときつく言っている姿を私も見せつけられ、息子さんのお気持ちを察するに、本当に遣り場のない無力感に襲われてしまいました。息子さんご自身も「こんなXXXX死んでしまったほうが良いですよね」等と仰っていたのですが、私はその追い詰められているさまが手に取るように判り複雑な気分でした。

子供を駄目人間にしようと思ったら親は子供の言うことを何でも聞いて、欲しい物を買い与え続け、貴方は特別に可愛い、当別な人間だと言い続ければ良いんだろうなあ、と考えてしまいました。

子育てを誤るとその子が撒き散らす迷惑は息子のみならず孫も超えて祟ると確信した今日の夜でした。

は~、疲れきりました。orz

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