2011年6月9日木曜日

肥満と病気・アメリカ

最近、共同研究のオファーがあったことから肥満とガンの関係についての論文を読み漁っている。
オファーは乳ガンに関する実験で、ある遺伝子のノックアウトマウスを使ったモデルシステムを用いた面白い話の数々なのだが、最近の知見に関して勉強する中で「アメリカの」肥満というものが如何に悲惨な状況にあるのかというのが判り愕然とした。色々なデータがCDC(Centers for Disease Control and Prevention)から出されているのだが、このデータはやはり衝撃的だ。BMI30というと、例えば知られる公式[(体重kg)/(身長mの二乗)]から、例えば身長1.7mの人がBMI30に到達するためには30=X/(1.7)^2であることから最低でも86.7kg(191Lb)なければならないことになる。これはやはりデカイと言わざるをえない。
しかし残念ながら、この程度で済んでいる人は未だましな方で、私の周りにももっともっとデカイ人が異常に多いのだ。男性も多いのだが、何となく女性の肥満に目が行ってしまうからだろうか、本当に間違って倒れこまれたら冗談抜きでこっちが骨折するんじゃなかろうかというくらいデカイ女性がナースとかでさえワンサカいるのだ。ダイエットコークを飲み、ダイエット何とかを食べつつ、日本ではついぞ見たことのないような巨大なポテチの袋を食べたり。異様に甘いアイスクリームをバケツごと食うんだからそりゃ「だれだって」太りますよ。その太り過ぎの結果、歩くこともままならない位太った人たちというのがちょっと道を歩けばすぐに見つかるんですからやっぱこの国はオカシイです。
もうひとつの問題は上の地図は2009年のものなんですけど、元のリンクを辿れば解るように、このアメリカにおける肥満の進行速度が正しく異常に早いのだ。ほぼ年々歳々、決して下がること無く肥満人口が蔓延していく様子は、もはやSARSなどと比べるべくもない恐怖ではなかろうか。
肥満が怖いのは、それが全身の臓器を蝕む慢性疾患の大ボスであるということ。よく知られる糖尿病、高血圧症、心血管系の様々な病気、そして最近良く判ってきたのがガンの促進要因であるということ。上に書いた病気だけでも、様々な二次疾患である腎臓病、網膜症、神経疾患等を誘発し、アメリカの医療費を食い尽くしている大元になっているのだ。
興味深いのは人種別で黒人>ヒスパニック>白人の順で肥満が酷いということと、小児肥満も含めてディープサウスと中西部が深刻な状況にあるということ。更に明らかなのは肥満率がものの見事にピタリと糖尿病の発症率と重なっていることだろう。
さてここで、もとの共同研究に関連した話なのだが、何とこれらの肥満を解消するために、劇的な胃の縮小手術がうちの大学でも毎週5-10件弱行われているというのだ。この数に先ず驚いたのだが、更に驚くのはこれらのオペの結果、糖尿や高血圧などにも症状の改善や消失が見られるという驚くべき話でした。(私の学生の頃こんなことが起きると解答用紙に書いていたら多分落第させられていたと思うんですが、超高度肥満の外科的治療は本当に劇的にこれらの人達の「ポスト・オペレーション・ライフ」を変えてしまうんですね。)
保険会社にとってみれば、このオペ一発で多くの将来的巨額の出費を抑えられるならという感じでガンガン適応にしてるんでしょうね。実際、保険会社はキャンペーンを一杯張っていて、今回のキャンペーンで減量の決意表明した人達の合計減少体重を道端のでかい広告に載せたりしてますから、真剣です。肥満は病気!何とかしないといけません。しかし、目の前にある美味しいものに手を出さないというのは人間難しいんですよね、、、。
下世話な話ですけど、こんなにでかくなった人達って自分でウンチ拭けるんでしょうか、、、?

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